
子どもが話したくなる親の関わり方とは?信頼関係の作り方を元スクールカウンセラーが解説【後編】
「ちゃんと話してほしい」
「何を考えているのか知りたい」
子どもが話してくれないと、不安になりますよね。
ただ実は、子どもが安心して話せるかどうかは、日々の関わり方や親子の空気感と深く関係しています。
前編の記事では、「子どもが話さなくなる理由」について解説しました。
後編では、
・逆効果になりやすい関わり方
・子どもが話したくなる関係づくり
・今日からできる声かけ
を解説します。
監修者:臨床心理士・公認心理師 新井知佳
実は逆効果になっている親の関わり方

良かれと思っている関わりが、実は子どもにとっては負担になっていることもあります。ここでは、気づきにくいポイントを見ていきましょう。
「なんで話してくれないの?」と責めてしまう
子どもが話さないと、「理由を知りたい」と思うのは自然なことです。ただ、その気持ちが強く出ると、子どもにとってはプレッシャーになってしまいます。
「なんで話してくれないの?」と問い詰められると、子どもは「何か答えなきゃいけない」と感じてしまい、かえって言葉が出にくくなることがあります。
そんなときは、「話したくなったら教えてね」と少し距離を取ることで、安心感をつくることができます。問い詰めるよりも、待つ姿勢が大切です。
アドバイスや正論をすぐに伝えてしまう
親としては、子どもにとって良い方向に導きたいと思うものです。ただ、タイミングによってはその言葉が逆効果になることもあります。
友達とのトラブルを打ち明けられたときに、すぐに「ちゃんと謝りなさい」と伝えてしまうと、子どもは気持ちを受け止めてもらえなかったと感じることがあります。
共感される前に正しいことを伝えられると、子どもは心を閉じやすくなると言われています。まずは「それはつらかったね」と寄り添うことを意識してみてください。
子どもの話を途中で評価・否定してしまう
無意識のうちに、子どもの話を評価してしまうこともあります。
「それは違うよ」「気にしすぎじゃない?」という言葉は、大人にとっては軽い一言でも、子どもにとっては否定されたように感じられることがあります。
大切なのは、正しさではなく「どう感じたか」に寄り添うことです。「そう思ったんだね」と一言添えるだけで、子どもは安心して話しやすくなります。
子どもが話したくなる関係の作り方

実は、子どもが安心して気持ちを話せるかどうかは、日々の関わりと深く関係しています。
国立教育政策研究所の研究でも、子どもの「気持ちの安定」や「人との関わり方」といった社会情緒的な力は、家庭環境、特に保護者との関係性に大きく影響されることが示されています。
つまり、子どもが話すかどうかは「性格」ではなく、安心できる関係があるかどうかに左右されるということです。だからこそ大切なのは、“うまく聞き出すこと”よりも、「この人なら話しても大丈夫」と思える関係をつくることです。
なお、仮に親子間で安心できる関係があったとしても、子ども本人の心の状態が不安定だと、話すこと自体が精神的な負担が大きくて難しいということもあります。
心の不調は身体の不調として表れやすいため、気がかりな身体症状(頭痛、不眠、食欲不振など)がないか確認してみましょう。
気がかりな身体症状があり、意欲の低下や気持ちが沈んでいるなどの精神的な不調もみられるのであれば、精神科や心療内科の受診を検討してみましょう。
「聞く」より先に「受け止める」姿勢をつくる
会話を増やそうとすると、つい質問が増えがちですが、それ以上に大切なのは受け止める姿勢です。
子どもが何か話したときに、「それで?」と続きを求めるよりも、「そうなんだ」と一度受け止めるだけで、安心感は大きく変わります。
子どもは、「ちゃんと分かってもらえた」と感じると、安心して言葉を続けやすくなります。まずは聞くよりも、受け止めることを意識してみてください。
日常の中で“話さなくてもつながれる時間”を持つ
会話がなくても、一緒に過ごす時間は関係づくりにとって大切です。
同じ空間で過ごしたり、テレビを見たりするだけでも、「この人といると安心できる」という感覚は育っていきます。
無理に話を引き出そうとせず、「一緒にいる時間」を大切にすることが、結果的に会話につながります。
「何があっても大丈夫」というメッセージを伝える
子どもが話すかどうかは、「この人に話しても大丈夫か」で決まります。
日頃から「どんなことでも話していいよ」「怒らないから教えてね」と伝えておくことで、安心感は少しずつ積み重なっていきます。
そして実際に話してくれたときには、「話してくれてありがとう」と受け止めることが大切です。この積み重ねが信頼関係を育てていきます。
話してくれないときに親ができる声かけ

声かけを少し変えるだけで、子どもの反応は大きく変わります。
無理に聞き出さない「余白のある声かけ」
質問を重ねるよりも、余白のある言葉の方が子どもは安心しやすくなります。
「今日はちょっと疲れてる感じだね」と様子を伝えるだけでも、「見てもらえている」という感覚につながります。
答えを求めない声かけを意識してみてください。
共感から始めるシンプルな一言
会話のきっかけは、シンプルな共感で十分です。
「それは大変だったね」「ちょっと嫌だったよね」といった言葉だけでも、子どもは安心して話しやすくなります。
まずは気持ちに寄り添うことを意識してみてください。
タイミングを変えるだけで会話は変わる
同じ内容でも、話すタイミングによって受け取り方は変わります。
寝る前やリラックスしている時間、横並びで過ごしているときなどは、子どもが話しやすくなることがあります。
今すぐ聞こうとせず、タイミングを待つことも大切です。
【家庭でできる対策】信頼関係を育てる3つの習慣

日常の中での小さな関わりが、信頼関係を少しずつ育てていきます。
「1日1回、否定しない会話」を意識する
まずは1日1回でも、「否定しない会話」を意識してみてください。
「そうなんだ」と受け止めるだけでも、子どもにとっては安心できる経験になります。
結果ではなくプロセスに注目する声かけ
結果だけでなく、「どう考えたか」「どう感じたか」に目を向けることで、会話は広がります。
子どもも自分の話をしやすくなります。
子どもの世界(ゲーム・友達)に関心を持つ
子どもの興味に寄り添うことが、会話のきっかけになります。
分からなくても「教えて」と聞くことで、子どもは安心して話しやすくなります。
まとめ
・子どもが安心して話せるかどうかは、日々の関わり方と深く関係している
・無理に聞き出すより、「受け止めてもらえた」という安心感が大切
・小さな関わりの積み重ねが、親子の信頼関係につながっていく
子どもが話してくれないと、不安や焦りを感じることもありますよね。でも、親子の関係は少しずつ育っていくものです。まずは「話さない」ことを否定せず、ありのままを受け止めてあげましょう。
大切なのは、「あなたの味方だよ」「大事に思っているよ」というメッセージを伝え続けること。たとえ何も話してくれなくても、「どんな時も味方になるから、何かあったら話してね」と伝えることが大切です。小さな関わりの積み重ねが、子どもの安心につながっていきます。
新井知佳
臨床心理士・公認心理師
臨床心理士・公認心理師の資格を持ち、小児科やスクールカウンセラーとして、子どもや保護者の心に寄り添う支援に従事。現在は、小学生の長女と、自閉スペクトラム症・知的発達症をもつ年長の長男の子育てを中心とした生活を送りながら、専門家としては主に認知症の心理評価などを行っている。子育ての実体験と心理の専門知識を生かし、発達や子育てに悩む家族への情報発信や支援活動にも取り組んでいる。