【元警察官直伝】小学生パパママ必見!子どもを交通事故から守るために

子どもが小学生になると、ひとりで道路を歩き、交通事故など危険に巻き込まれないかと不安に思う親御さんは多いのではないでしょうか。

交通事故の件数は減少傾向にありますが、依然として重大な社会問題です。子どもが事故に遭わないために、子どもの特性や知っておくべきルールを紹介します。

執筆 元警察官 安井 かなえ

小学生の交通事故の特徴と原因

小学生の交通事故の特徴には傾向があります。どのような原因が多いのかを理解すれば、よりいっそう交通安全への意識が高まり、特に何に気をつければよいのかが見えてきます。

小学生が事故に遭いやすい時間帯

警察庁の発表によると、小学生が交通事故に遭いやすい時間帯は、特に登下校時に集中しています。具体的には、午後3時から午後5時台がもっとも多く、この時間帯は学校が終わって帰宅する児童が多いため、交通量の増加や注意力の低下が影響していると考えられます。

事故防止のために、保護者や地域の大人は、通学路の安全確認や見守り活動はもちろんですが、運転者もこの時間帯には子どもが道路にいることを意識し、慎重な運転を心がけて欲しいと思います。

飛び出しに注意

小学生の交通事故原因のうち、「飛び出し」と「横断歩道の不注意」で全体の半数以上を占めています。子どもが道路を横断する際に、車両の接近を確認せずに飛び出すことが主な原因です。また、運転者が小学生の動きを予測しにくいのも事故の一因です。[a]

過去5年間、東京都内の歩行者年齢別死傷者数では7歳の事故がもっとも多く、小学生が犠牲になる事故が多くなっています。

小学校高学年になると、自転車での事故件数が徒歩を上回ります。特に、ヘルメット非着用者の頭部致命傷率は着用者の約2.4倍にのぼります。

警察官時代、ヘルメットを着用せず自転車に乗っていた小学生が交通死亡事故で頭部を損傷し、血を流して倒れた姿を見たことがあります。

病院に呼び出されたご家族はショックでその場で泣き崩れ、後悔しても後悔しきれなかったと思います。

命を守るために、ヘルメットはできるだけSGマークなどの安全性を示すマークの付いたものを使い、あごひもを確実に締めるなど、正しく着用しましょう。

子どもの行動特性を知ろう

子どもは注意の配分ができず、一点集中をしたり、突発的な行動をする傾向があります。子どもの行動特性を理解しておきましょう。

衝動的な行動をする

子どもは興味を引くものが目の前に現れると、他の状況を考慮せずにすぐに行動してしまうことがあります。衝動的な行動は、道路の飛び出しなどにつながり、交通事故のリスクを高めます。普段は「道路の飛び出しが危ない」と理解していても、いざというときに注意力が散漫になり、危険な行動を取ってしまうのです。

対策

成長につれて危険を認識し、的確な判断ができるようになります。

判断がまだ未熟な年齢では、道路を歩くときはできるだけ歩道がある道路を選び、道路の端を意識的に歩くようにするなど、事故に遭いにくい環境に身を置くことが理想です。

通学路など、決められた道路の環境が変えられない場合は、日頃から「飛び出さない」と言い聞かせ、意識づけをしてあげましょう。

ルールがよくわかっていない

低学年の子どもは、「横断歩道を渡る」「赤信号を守る」という基本的なルールを知っていても、なぜ守らなければならないのかをしっかり説明する必要があります。

また、高学年になるにつれて、子どもたちは通学に慣れてくると、交通ルールを過信し、「大丈夫だろう」と基本的な安全確認をしないことが見受けられます。安全確認に慣れはないとしっかり声かけをしてあげましょう。

対策

交通ルールは信号や標識を守るだけではなく、状況に応じた判断も必要です。

子どもが普段通る道を大人と一緒に歩いてみましょう。子どもの目線の高さを意識し、歩きながら交通ルールを守るポイントを伝えます。大人には見つけやすい危険でも、子どもには気づきにくいことがあります。

予測ができない

子どもは、大人のように状況の判断や予測をすることがまだ身についていません。

見通しの悪い交差点やカーブの先から車が飛び出してくるだろうと予測ができず、危険な目に遭うことも。自分の視界に車や自転車がいなければ大丈夫だろうと思うのは危険です。

対策

実際に見通しの悪い交差点や路地などに行き、道路のどこが危険で、車から見えにくい場所がどこなのかを認識させ、起こりうる危険を一緒に確認しましょう。

視野が狭い

子どもの視野については、スウェーデンのステイナ・サンデルス氏の実験によると、6歳くらいの幼児の平均的な視野は、左右で90度程度、上下で70度程度にとどまり、大人の6割程度なのです。

対策

成長とともに視野が広くなりますが、小学生の視野はまだまだ狭く、道路では車がかなり接近してから、ようやく子どもの視界に入ることになります。

視野の狭さを体感するには、東京都福祉局のホームページで無料配布している「東京都版チャイルドビジョン」を利用するのもおすすめです。

子どもに知ってもらいたい交通ルール

交通ルールは多岐にわたりますが、小学生が交通事故に遭わないために覚えておくべき3つのポイントをお伝えします。

なぜ気をつけなければならないのかを、ぜひ親子で一緒に話し合ってみましょう。

横断歩道を渡ろう

小学生は、横断歩道を渡るルールを何度も聞いたことがあると思います。

高学年になるにつれて、交通ルールや道路に慣れ、横断歩道手前での安全確認を怠ったり、手をあげるのが恥ずかしくなることもあります。

なぜ安全確認が必要なのか、なぜ手をあげて渡るのかをしっかりと教えてあげましょう。

車の死角を知ろう

車には複数のミラーが設置されていますが、それでも全ての方向を完璧に見ることはできません。特に大型車は死角が広く、子どもが見えなくなるポイントが多く存在します。そのため、子どもが車のそばに立つと、運転者の視界に入らず危険です。

また、子ども自身にも「車には見えない場所(死角)がある」ことを教え、車のそばで遊ばないこと、近づかないことをしっかりと伝えてあげましょう。

特に車が停車中でもエンジンがかかっている場合は、急に動き出す可能性があるため、より一層注意が必要です。

青信号でも注意

横断歩道を渡るとき、青信号でもすぐに横断するのは危険です。

運転者が信号を見落とす、急いでおり信号を無視する、または右左折車両が歩行者に気づかないことが考えられます。

また、緊急自動車もサイレンを鳴らしながらですが、赤信号でも交差点に侵入してきます。

子どもは視野が狭く、車の動きを予測するのが難しいため、信号が青でも周囲の安全確認を怠ると危険です。青信号を過信せず、左右を確認してから横断しましょう。

運転者が気をつけること

子どもだけではなく、運転者も交通安全を意識した運転を心がけましょう。子どもが事故に巻き込まれないために、気をつけて欲しいポイントを3つ紹介します。

通学路や住宅街での減速

通学路や住宅街では、子どもが突然飛び出してくる可能性が高いため、注意が必要です。子どもたちが多く通る道路は、スクールゾーンに指定されていることが多く、制限速度が30km/h以下に制限されていることがあります。特定の通学時間帯には車両の通行が禁止されることもあります。

標識を確認し、子どもたちの動きを予測して慎重に運転しましょう。

子どもを見かけたら注意

子どもを見かけたら、まずは減速をしましょう。車間距離をしっかりと保ち、ブレーキにすぐ足をかけられるように準備しておくことが大切です。

特に、子どもが一人で歩いている場合や、グループで遊んでいる場合は、興奮して飛び出してくる可能性が高まります。

高学年になると、路上を自転車で通行する子どもが増えてきます。止むを得ず自転車の横から追い越す場合は必ず減速して適度な距離をあけましょう。

横断歩道に注意

横断歩道は歩行者優先ですが、横断歩道で歩行者が犠牲となる交通事故が後を絶ちません。

子どもは青信号や横断歩道を過信して、車が近づいていることに気づかないことがあります。また、子どもは身長が低く、運転者の視界に入りにくいため、横断歩道に近づく際は特に注意して運転しましょう。

まとめ

いかがでしたか?

小学生は登下校時に交通事故に遭いやすく、特に午後3時から5時に注意が必要です。子どもは衝動的な行動を取りやすく、交通ルールの理解が不十分であるため、飛び出しや横断時の不注意が主な事故原因となります。保護者や運転者は、子どもが通る道は特に気をつけて走行しましょう。

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安井かなえ

元警察官

小学生と幼稚園児までの3人の子どもの肝っ玉母ちゃん。警察庁外国語技能検定北京語上級を持つ。 交番勤務時代に少年の補導や保護者指導を経験後、刑事課の初動捜査班で事件現場に駆けつける刑事を経て、外事課では語学を活かし外国人への取り調べや犯罪捜査などを行う。 現在は、防犯セミナー講師として企業や市民向けに活動中。 好きな音楽はGLAY。

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