【元刑事が教える】子どもの安全を守るための対策ガイド ースマートフォン・SNS編ー
元刑事と子育て中の母の視点から、子どもの安全を守るための具体的な対策ースマートフォン・SNSーを紹介します。
この記事を通じて、防犯の観点から、親子で安心してスマートフォンと付き合える環境を作りましょう。
目次
子どもの安全を考えよう。キッズ携帯の利用とSNSのリスクとは。
近年、SNSを通じて犯罪に巻き込まれる事件が増えています。
ほとんどのキッズ携帯はWEBの閲覧ができず、決められた相手としか電話できないなど機能が制限されています。
一方で、機能に制限がない機種を持たせる場合は注意が必要です。
特に、匿名で不特定多数の人とやり取りできるSNSやメッセージアプリは、便利で楽しい反面、危険に巻き込まれやすいツールにもなっています。
カメラや動画機能は、撮影したあとの写真の取り扱いにも注意が必要です。
1.代表的なSNSの年齢制限
代表的なSNSの多くは利用規約上に年齢制限を設けており、例えばLINEは12歳未満、TikTok、X、Instagramなどは13歳未満の利用を制限しています。
LINE | 利用推奨年齢12歳以上(一部機能は18歳以上のみ) |
Messenger Kids | 6歳以上利用可 |
13歳以上利用可 | |
13歳以上利用可 | |
Youtube | 13歳以上利用可(13歳未満は親または保護者の許可が必要) |
X | 13歳以上利用可 |
Tiktok | 13歳以上利用可 |
Discord | 17歳以上利用可 |
東京都が2021年に小中高生の保護者を対象に行った調査によると、約4割の保護者がこの年齢制限を知らなかったと回答しています。また、年齢制限があるにもかかわらず、スマートフォンを所有する小学生の約7割がLINEを利用していることがわかっています(家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査)。
子どもがやむを得ず年齢制限があるSNSを使用する場合は、保護者がアカウントを作成し、投稿やインターネット上での交流を全て保護者が管理できる状態にすることをおすすめします。
2.SNSによって子どもが被害に巻き込まれることも
令和5年、小学生によるSNS起因の被害件数が139件で過去10年間で最多となりました。これらの事件の74%は、被害児童によるSNSへの投稿が事件の発端となっています(※)。また、犯罪に利用されたSNSへのアクセス方法の97%がスマートフォンからであり、そのスマートフォンの89%がフィルタリング機能を利用していませんでした(「令和5年における少年非行及び子供の性被害の状況」(警察庁生 活安全局人身安全・少年課)より)。
※・・・投稿内容は数が多い順に援助交際目的、プロフィール公開目的、趣味や嗜好を公開する目的でした
特にSNS上で「児童買春・児童ポルノ禁止法」に関する被害が最近は増えています。年齢や職業を偽った相手が、子どもに優しい言葉をかけ、心を開かせたのちに騙す手口が多発しています。
実際のケースでは、同年代の女友達を装った人物が「今度彼氏とデートするから、私にどの下着が似合うか見てほしい」と自分の写真を送り、次に「私が送ったのだからあなたも見せて」と言われるままに子どもが写真を送ってしまうという被害が発生しました。
この被害の原因の一つは、相手を「いい人だから大丈夫」と思い込んでしまったことです。しかし、子どものスマホに不審な写真があるのを見た親が警察に相談したことで事件が発覚しました。
仲が良いと思っていた女友達は実は男性で、最初に送られてきた写真もインターネット上にあった他人のもので、SNSのプロフィールはすべて偽造されていました。
一度でもふさわしくない写真をSNSやメッセージアプリにアップロードしてしまうと、またたく間に拡散され「デジタルタトゥー」として削除するのが困難となります。
非公開のアカウントで閲覧者を制限したつもりでも、悪用されるケースがあとを絶ちません。
3. SNS犯罪の予防策ともしものときの相談先
■家でできるSNS犯罪予防策
フィルタリング機能の有効化 | お子さまのスマートフォンにフィルタリング機能を有効化し、年齢に合った設定をしましょう。を設定し、実年齢に合わせてフィルタリングの設定をしましょう。政府等の取組みでは、携帯事業者にフィルタリングの説明や有効化措置を講じることを義務化しています(https://www.cfa.go.jp/policies/youth-kankyou/internet_torikumi_hourei)。購入時の設定より緩和された設定にしないことをお勧めします。 |
ペアレンタルコントロール機能の有効化 | 利用時間の制限ができたり、不適切なコンテンツのブロックができたりします。SNSリテラシー教育: 子どもと一緒にSNSの安全な使用方法を学ぶ。文部科学省をはじめ、楽しみながら学べるコンテンツがあります。 文部科学省:https://www.mext.go.jp/moral/#/category08 (SNSのモラル学習サイト) 総務省:https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/index.html (情報通信白書 for kids) 総務省:https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/ (インターネットのトラブル事例集) 政府:https://www.gov-online.go.jp/prg/prg16428.html (自画撮り被害が増加! SNS上の出会いに要注意!!) |
親子のコミュニケーション | 子どもたちには、SNSやメッセージアプリの利用に関するリスクや注意点を十分に理解させましょう。また、親としても子どもたちのSNSやメッセージアプリの利用状況を定期的にチェックし、親子で安心して使用することが大切です。スマートフォンの利用ルールを、子どもの意見も聞いて作ることも効果的です。 |
■もしものときの相談先
もし何か問題が発生した場合、または犯罪被害に遭った場合には、専門の支援窓口にご連絡いただけます。親も子どもも、一人で悩まずに相談してみてください。
その際に、子どもを責めないことがとても大切です。
相談窓口 | 相談内容 | 電話番号/URLなど |
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(内閣府) | 緊急避妊薬の処方や性感染症検査、証拠採取などの医療的支援、相談・カウンセリングなどの心理的支援、警察への同行支援、弁護士など専門家を紹介する法的支援などを行います。 | 全国共通番号 #8891(はやくワンストップ)●最寄りのワンストップ支援センターにつながります。受付時間などはこちらをご確認くださいhttps://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html |
性暴力に関する SNS相談「 Cure time」(内閣府) | 「被害のこと、電話だと話しにくいな。」そんなとき、チャットで話してみませんか?警察のこと、病院のこと、つらい気持ち。一人で悩まず、相談してください。専門の相談員が一緒に考えます。ひみつは守ります。 | キュアタイムhttps://www.gender.go.jp/link/policy_olink/olink_no_violence80.html |
性犯罪被害相談電話 (警察) | 性犯罪・性暴力被害等の相談に応じる警察の窓口です。 | #8103(ハートさん) ●この番号にダイヤルしていただくと、発信場所を管轄する都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながります。【24時間受付しています】 |
警察相談専用電話 (警察) | 犯罪被害の未然防止に関する相談等、各種相談に応じる警察の窓口です。 | #9110 発信場所を管轄する都道府県警察の本部の総合窓口につながります。 (最寄りの警察署でも対応します。) 【土日・祝日および執務時間外】 24時間受付体制の一部の県警を除き、当直または音声案内で対応します。 |
親子のための相談LINE (こども家庭庁) | 「親子のための相談LINE」は、子育てや親子関係について悩んだときに、子ども(18歳未満)とその保護者の方などが相談できる窓口です。 | 親子のための相談LINEhttps://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/link/olink_230721_02.html |
女性の人権ホットライン (法務局・地方法務局) | 女性をめぐる様々な人権問題についての相談窓口です。性的な画像を含むインターネット上の人権侵害情報についても相談に応じており、削除依頼の方法などの助言に加え、事案に応じてプロバイダ等に対する削除要請を行います。 | 0570-070-810 最寄りの法務局・地方法務局につながります。【平日】午前8時30分~午後5時15分 |
違法・有害情報相談センター | インターネット上の名誉毀損、プライバシー侵害、人権侵害などに関する書き込みへの対応や削除要請方法、その他トラブルに関する対応方法などについて、アドバイスします。 | インターネット上の相談フォーム 【24時間受付】https://www.gender.go.jp/link/policy_olink/olink_avjk06.html |
子どもの人権110番 (法務局) | 子どもの人権問題に関する相談窓口。関係機関と連携して被害児童の保護など、被害の救済を図ります。 | 0120-007-110 最寄りの法務局・地方法務局につながります。【平日】午前8時30分~午後5時15分子どもの人権110番https://www.gender.go.jp/link/policy_olink/olink_avjk03.html |
まとめ
いかがでしたか?
今回は子どものスマートフォン利用や、SNSの利用についてご紹介しました。
お子さまのスマートフォン所持率は低年齢化をしているため、読者さまの中にもご自身のお子さまにスマートフォンを持たせている方もいらっしゃると思います。
とても便利である一方で、お子さまが使うには注意も必要です。
使い過ぎを未然に防ぐことや、誤った使い方をしないことがとても大事ですが、もしものときの窓口を知っておくと、いざとなったときに一人で抱えずに済みます。
保護者も一緒に学ぶ姿勢で、一緒にスマートフォンやSNSとの関わり方についてお子さまと考えてみるのも一つだと思います。
安井かなえ
元警察官
小学生と幼稚園児までの3人の子どもの肝っ玉母ちゃん。警察庁外国語技能検定北京語上級を持つ。 交番勤務時代に少年の補導や保護者指導を経験後、刑事課の初動捜査班で事件現場に駆けつける刑事を経て、外事課では語学を活かし外国人への取り調べや犯罪捜査などを行う。 現在は、防犯セミナー講師として企業や市民向けに活動中。 好きな音楽はGLAY。