小学生の熱中症対策~登下校・外遊びで気をつけたいこと~

夏になると心配になるのが、子どもの熱中症です。

近年は気温の高い日が増え、学校生活や外遊びの中でも熱中症のリスクが高まっています。特に小学生は大人よりも体温調節が苦手で、自分の体調の変化に気づきにくいこともあります。

「水筒を持たせているから大丈夫」「元気に遊んでいるから問題ない」と思っていても、知らないうちに体に負担がかかっていることも少なくありません。

この記事では、小学生が熱中症になりやすい理由や、 登下校・外遊びで気をつけたいポイントについて解説します。

監修者:元教員 金島ちぐさ

なぜ小学生は熱中症になりやすいの? 

小学生は大人と比べて体温調節機能が未発達なため、暑さの影響を受けやすいと言われています。

また、身長が低い子どもは地面からの照り返しを強く受けます。真夏のアスファルト付近は、大人が感じている以上に高温になっていることもあり、登下校中だけでも体力を消耗してしまいます。

さらに、子どもは遊びや活動に夢中になると、自分の体調の変化に気づきにくい傾向があります。喉が渇いていても我慢してしまったり、水分補給や休憩を後回しにしてしまったりすることもあります。

日本スポーツ振興センターの調査によると、学校管理下で発生した小学生の熱中症事故は、令和6年度だけでも339件報告されています。近年は毎年300〜400件前後で推移しており、熱中症は決して珍しい事故ではありません。学校だけでなく、登下校や外遊びの場面でも十分な対策が必要です。 

登下校で気をつけたい熱中症対策

熱中症は運動中だけでなく、毎日の登下校中にも起こる可能性があります。特に真夏は、短い距離でも体に大きな負担がかかるため注意が必要です。 

環境省では、熱中症の危険性が高まる日に「熱中症警戒アラート」を発表しています。アラートが発表された日は、登下校や外遊びの際に特に注意が必要です。外出前に最新情報を確認し、水分補給や休憩をいつも以上に意識しましょう。最新の情報は、環境省 熱中症予防情報サイトで確認できます。 

水筒は十分な量を持たせる

暑い日は汗をたくさんかくため、水筒の中身が足りなくなることもあります。特に体育の授業や外遊びがある日は、水分の消費量も増えるため、容量が十分か見直しておきましょう。

最近では、凍らせたペットボトルや保冷機能の高い水筒を活用する家庭も増えていますが、結露でランドセルの中身が濡れないよう専用カバーやタオルで包むと安心です。また、学校によってはスポーツドリンクの持参を認めている場合もあります。汗を多くかく日には、お茶だけでなくスポーツドリンクを併用することも検討するとよいでしょう。 

一方で、持参できる飲み物の種類にはルールがある場合もあります。水筒が空になった場合に学校で補充できるかどうかも含めて、事前に確認しておくと安心です。  

帽子を習慣にする

帽子は、直射日光から頭を守るための大切なアイテムです。

日差しの強い日に帽子をかぶるだけでも体への負担は大きく変わります。登下校中はもちろん、外で活動するときもできるだけ着用する習慣をつけておきたいところです。

また、最近では首元まで日差しを防げるタイプの帽子や、冷感タオルを活用する家庭も増えています。特に首の後ろは日差しを受けやすいため、首元を守る工夫も熱中症対策につながります。

通学路の休憩場所を確認しておく

万が一、登下校中に体調が悪くなった場合に備えて、休憩できる場所を親子で確認しておくことも大切です。

例えば、コンビニや図書館などの公共施設、地域の子ども110番の家などは、困ったときに助けを求められる場所になります。

「気分が悪くなったらここで休もう」「困ったらここに助けを求めよう」と事前に話し合っておくことで、いざというときも落ち着いて行動しやすくなります。

熱中症対策は、水分補給だけではありません。体調が悪くなったときにどう行動するかまで含めて、親子で確認しておくことが大切です。

学校の熱中症対策も変化している

近年の猛暑を受け、多くの学校で熱中症対策の見直しが進んでいます。

例えば、暑さ指数(WBGT)をもとに体育や外遊びを制限したり、水分補給の時間を確保したりする取り組みが広がっています。また、日よけテントやミストの設置、活動時間の短縮など、学校ごとにさまざまな工夫が行われています。

登下校に関する対策も変化しています。以前はあまり見られなかった日傘やネッククーラー、冷感タオルの使用を認める学校が増えており、タブレットや教科書の持ち帰りを減らして荷物を軽くする取り組みを行う自治体もあります。

さらに、一部の自治体では下校時に氷水を配布したり、冷却グッズを冷やすための冷凍庫の設置を進めたりするなど、暑さから子どもたちを守るための新しい取り組みも始まっています。

一方で、対応は学校や自治体によって異なります。日傘や日焼け止め、ネッククーラーの使用、水筒への補充方法などについてルールが設けられている場合もあるため、学校からのお便りや連絡事項を確認しておくと安心です。

外遊びで気をつけたいポイント 

夏休みや休日は、公園や外で遊ぶ機会が増えます。しかし、子どもは遊びに夢中になると暑さや体調の変化に気づきにくく、熱中症のリスクが高まります。楽しく安全に遊ぶためにも、いくつかのポイントを意識しておきましょう。 

時間帯を工夫する 

気温が高くなる昼前後は、熱中症のリスクが最も高くなる時間帯です。特に真夏は午前中から気温が上がるため、できるだけ朝や夕方など比較的涼しい時間に遊ぶようにしましょう。

また、気温だけでなく湿度が高い日も注意が必要です。曇りの日でも熱中症になることがあるため、「日差しがないから大丈夫」と油断しないことが大切です。

こまめな水分補給を意識する

子どもは遊びに夢中になると、水分補給や休憩を後回しにしがちです。そのため、「喉が渇いたら飲む」ではなく、「遊び始める前に飲む」「30分ごとに休憩する」など、あらかじめルールを決めておくとよいでしょう。

また、大量に汗をかいたときは、水分だけでなく塩分も失われています。長時間外で活動する場合は、スポーツドリンクや塩分補給タブレットなどを活用するのも一つの方法です。

公園でも油断しない

公園は子どもが安心して遊べる場所ですが、夏場は思わぬ危険が潜んでいます。

例えば、滑り台やブランコ、鉄棒などの遊具は直射日光によって高温になり、やけどにつながることがあります。遊ぶ前に保護者が温度を確認しておくと安心です。

また、公園によっては日陰が少なく、長時間遊んでいるうちに体温が上がってしまうこともあります。木陰や屋根のある場所で定期的に休憩しながら遊ぶことを意識しましょう。

「まだ遊びたい」という気持ちを優先しすぎず、適度に休憩を取りながら遊ぶことが、熱中症予防につながります。

こんな症状があったら要注意

熱中症は、早めに気づいて対応することが大切です。最初は軽い症状でも、そのまま無理をすると短時間で悪化することがあります。子どもは体調不良をうまく説明できないこともあるため、周囲の大人が変化に気づくことが重要です。

軽度の熱中症サイン

熱中症の初期段階では、めまいや立ちくらみが起こることがあります。また、足や腕などの筋肉がけいれんしたり、「足がつった」と訴えたりすることもあります。

こうした症状が見られた場合は、「少し休めば大丈夫」と軽く考えず、早めに休憩を取ることが大切です。(熱中症の症状

中等度以上のサイン

頭痛や吐き気がある場合は、熱中症が進行している可能性があります。また、ぐったりしている、呼びかけへの反応が鈍い、ぼんやりしているといった様子が見られる場合は特に注意が必要です。

子どもが「大丈夫」と言っていても、明らかに元気がない場合は無理をさせず、すぐに対応しましょう。

応急処置の基本

熱中症が疑われる場合は、まず涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて体を休ませます。そのうえで、水やスポーツドリンクなどで水分補給を行いましょう。(参照:環境省熱中症予防情報サイト

また、首や脇の下、足の付け根など太い血管が通る部分を冷やすと、効率よく体温を下げることができます。症状が改善しない場合や、水分をうまく飲めない、意識がはっきりしないといった場合は、ためらわず医療機関を受診したり救急車を呼んだりすることが大切です。

また、小学生は放課後や休日に、保護者が近くにいない状態で遊ぶ機会も少なくありません。そのため、「頭が痛い」「気持ち悪い」「ふらふらする」といった症状が出たら無理をせず家に帰ること、「友だちがぐったりしている」「いつもより元気がない」「呼びかけへの反応がおかしい」と感じたら、すぐに近くの大人に知らせることも、あらかじめ親子で確認しておくと安心です。自分の体調の変化に気づくこと、そして友だちの異変に気づいたときに助けを求めることも、大切な熱中症対策の一つです。 

家庭でできる熱中症予防

熱中症を防ぐためには、登下校や外遊びの対策だけでなく、日頃の生活習慣を整えることも大切です。体調が万全であれば、暑さへの対応力も高まります。

朝ごはんをしっかり食べる

朝ごはんは、一日のエネルギー補給だけでなく、水分や塩分を補う役割もあります。

特に夏は寝ている間にも汗をかくため、朝は体の水分が不足しやすい状態です。食欲がない日でも、パンやおにぎり、味噌汁、果物など、できる範囲で何か口にする習慣をつけましょう。

睡眠不足に注意する

寝不足は熱中症のリスクを高めると言われています。

睡眠が不足すると疲れが取れず、体温調節機能もうまく働きにくくなります。特に夏休み中は夜更かしをしやすくなるため、できるだけ規則正しい生活を心がけることが大切です。

十分な睡眠は、熱中症予防だけでなく、集中力や体力の維持にもつながります。

暑さに慣れることも大切

暑さを避けることも大切ですが、少しずつ暑さに慣れていくことも熱中症予防につながります。

例えば、涼しい時間帯に散歩をしたり、軽く体を動かしたりすることで、汗をかく習慣が身につきます。こうした「暑熱順化」によって、体は暑さに対応しやすくなります。

ただし、無理は禁物です。体調や気温を確認しながら、無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。


まとめ

・小学生は大人より体温調節が苦手で、熱中症になりやすい

・登下校や外遊びでは、水分補給・休憩・暑さ対策が欠かせない

・体調の変化を見逃さず、早めに対応することが大切 

熱中症は、登下校や外遊びなど身近な場面でも起こります。帽子や水筒の準備、こまめな水分補給、十分な睡眠など、日頃からの対策を心がけましょう。

また、「無理をしない」「体調が悪いときは大人に伝える」といったことを親子で確認しておくことも大切です。家庭でできる備えを続けながら、暑い夏を安全に過ごしましょう。

アバター画像

金島ちぐさ

元教員

国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。

特集記事

CONTACT

会社についての

お問い合わせはこちら