新学年は子どもも不安いっぱい。寄り添い方や声かけのアドバイス

入学・進級を前に、ワクワク半分、不安半分の子どもたち。できればワクワクいっぱいで新学年を迎えてほしいですが、環境の変化もあり、不安が勝ってしまう子どももいます。

今回は、どうしても不安な気持ちになってしまいがちな子どもに寄り添う方法や、効果的な声かけのアドバイスをご紹介します。

執筆 元教員 金島ちぐさ

こんな言動は、子どもからの不安のサインかも?

子どもの不安サインにはいろいろありますが、もっとも分かりやすいのは「質問が増える」ことです。子ども自身が何に不安を感じているのか分かっている場合は「こういうときってどうするのかな?」「もしこうなったらどうすればいい?」と具体的な質問をしてくることが多いです。一つや二つの疑問なら誰にでもありますが、いろんなことを想像して毎日いくつも質問してきたり、同じことを何回も質問してきたりするようなら、それは不安が強いサイン。一度ゆっくり話を聞いてみてください。

その他には、夜眠りにくくなる、朝起きにくくなる、食欲が落ちる、怒りっぽくなるといった変化が出たときも、不安のサインかもしれません。

小学生が新学年に不安を感じる理由は?

一口に不安といっても、不安を感じる理由は子どもによってさまざまです。友だちや先生との関係、勉強のこと、生活のことなど、どこに不安を感じているのかが分かれば、解決の糸口が見えてきます。

どんな生活になるか予想ができないから

新一年生は特に、これからどんな学校生活になるのか予想しづらいものです。朝、家から学校までどうやって行くのか、学校に着いたら何をすればいいのか、ちゃんと下校できるのか、不安に感じるポイントがたくさんあるはずです。見通しを持って行動したいタイプであれば、その見通しが持てないことで、不安が大きくなりがち。例えば家族で出かけるときに「何時に着くの?」と聞いたり、「明日ってお出かけする?」と知りたがったりする子どもは、見通しを持ちたいタイプだと言えます。

また、新二年生以降の進級でも、環境の変化はあります。教室が1階から2階になるだけでも、子どもにとっては大きな変化。高学年になると、責任が増えるプレッシャーから不安につながることがあります。

友だちと同じクラスになれるか分からないから

クラス分けは、いつになっても緊張しますよね。仲の良い子と同じクラスになれるかどうか、そして苦手な子と同じクラスにならないかどうか、誰しも少しは気になるはずです。

もしも、これまでに何度もトラブルになっている同級生がいる場合、学校へ伝えておくことで配慮してもらえます。もちろん、嫌いな子だからとクラスを分けたり、好きな子と同じクラスにしてもらったりすることはできませんが、いじめや嫌がらせの可能性があって子どもの心の負担になっている場合は、先生に相談してみるのもひとつの方法です。

担任の先生と合うか分からないから

クラスメンバーと同じくらい気になるのが、担任の先生です。これは保護者としても気になりますよね。高学年になるにつれて先生の名前と性格を把握していくので「あの先生がいいな」「あの先生は嫌だな」と言っている姿を見かけるようになります。

勉強が難しくなるから

4年生以降になると、勉強に不安を抱える子どもがぐっと増えます。新六年生になるわたしの娘も、「今日の算数全然分からなかった…」と帰ってくることがあり、「6年生の算数って何するの?」と気にしています。分からないまま45分の授業を受け続けるのは辛いこと。苦手な教科だけでも予習をしておけば、最低限の不安は取り除けるかもしれません。

子どもの不安を和らげるためにできること

子どもの不安を完全に取り除いてあげることは難しいですが、寄り添い方や声掛けによって不安を和らげることはできるかもしれません。傾聴をベースに、いくつかの方法をご紹介します。

どんなことが不安なのか、話を聞く

とにかく元気づけようと「こうすればいいじゃん!」「そんなこと気にしなくていいよ!」といった声かけをしたくなるかもしれませんが、まずは子どもの話を聞いて受け止めるようにしましょう。「そうなんだね」「なるほど、たしかに」など、子どもの気持ちに寄り添って共感するような声かけをすると、子どもは「分かってもらえた」という安心感を得ることができます。この「分かってもらえた」という安心感は、それだけで不安そのものが消えてしまう可能性があるくらい、大きなものです。子ども自身が話そうとしているときは、口を挟んだり結論を急いだりせず、じっくり耳を傾けるようにしてください。

先生に質問や相談をして、不安を取り除く

「教室の場所が分からないかもしれない」「給食を残してしまうかもしれない」など、何が不安なのかが分かった場合は、直接学校へ質問してみるのも良い方法です。「靴箱で立っている先生に聞けばいいですよ」「給食は残しても大丈夫ですよ」と言ってもらえたら安心できるはずです。直接学校へ聞くのはちょっと…という場合は、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる家庭に聞いてみるのもいいですね。

子どもと一緒に楽しい学校生活をイメージする

不安な気持ちが大きくなってしまった子どもは、どうしてもネガティブなイメージばかりしてしまいます。「こうなったらどうしよう」「こんなときどうすればいいんだろう」という想像ばかりでは、せっかくの学校生活が憂鬱になってしまいますよね。一度そんな不安な気持ちに寄り添った後は、「じゃあ休み時間は何して遊びたい?」「先生って折り紙上手なのかな?」など、学校生活の楽しいシーンもイメージしてみましょう。新しいお道具箱や筆箱を準備するときも、使うときのワクワクした気持ちを想像できるといいですね。

学校の外での居場所を作る

友だち関係や、学校という空間そのものが不安な場合は、学校外での居場所を作ることで気持ちが安定するケースがあります。打ち込める習い事やそこでの友だち、公民館や図書館といった公共施設など、子どもが「ここは楽しい」「ここなら安心」と感じる場所を見つけられるといいですね。

高学年ならそっとしておくのもひとつの方法

小学校高学年になり思春期に差し掛かってくると、いつでもなんでも親に相談するという感じではなくなってきます。気持ちが不安定になっているな、きっと新学期が不安なんだろうな、と思っても、子どもの方から話してくるまではそっとしておくのもひとつの方法です。子ども自身も少しずつ自立し、不安に向き合う時間も大切になってきます。「いつでも受け止めるよ」という気持ちは持ちつつ、精神的な成長を見守る時期かもしれません。


まとめ

・不安になることは当たり前

・「不安のサイン」に気づいてあげる

・子どもの不安に寄り添う

・分からないことは、先生や周りに聞いてみる

入学・進級を前に不安を感じる子どもへの寄り添い方について解説しました。子どもの不安そうな姿を見ると親としても心配になってしまいますが、ここはどっしりと構え、おおらかな気持ちで子どもの不安を受け止められるといいですね。分からないことは先生や周りの先輩パパ・ママに聞きながら、楽しい入学・進級を迎えましょう。

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金島ちぐさ

元教員

国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。

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