小学生の家庭学習は、予習と復習どちらが大事?それぞれの取り組み方もご紹介

小学生の家庭学習では、予習と復習のどちらを優先すべきか迷う方も多いでしょう。授業が理解できていないなら予習?テストの点数が悪かったら復習?など、限られた時間で親としてどのように子どもの勉強のサポートをするべきなのか、私も教師の時代には学校の保護者の方からよくご質問をいただきました。

今回は、予習と復習それぞれのメリットとデメリット、取り組み方について解説します。

執筆 元教員 金島ちぐさ

小学生の家庭学習では「復習」するのがおすすめ

予習と復習、どちらに取り組めばいいですか?と聞かれれば、わたしは復習をおすすめします。というのも、小学校の授業は「予備知識がないこと」を前提に進められていくので、「予習をしていないと分からない」というケースは少ないです。むしろ、学習したことを何度も繰り返して反復する時間はじゅうぶんに取りにくい(毎日新しいことを学んでいくので時間が足りない)ため、この点を家庭学習で補うのが理想だと感じます。

ただ、子どもの性格や勉強の理解度によって予習の方が有効な場合もありますので、下記で詳しく解説します。

予習のメリットとデメリット、取り組み方

まずは、予習についてです。小学校の間は積極的に予習に取り組むことは少ないかもしれませんが、もちろん適切に行えばメリットがあります。取り組み方に注意しながらやってみるといいですね。

予習のメリット

授業の先取りをできるのが、予習のメリットです。先に学習内容を知っておくことで、授業に興味をもって取り組めるでしょう。

また、勉強に不安を抱えている子どもについては、予習しておくことで「授業が分からないかもしれない」という不安を解消できます。安心して学校へ行きやすくなるでしょう。

予習のデメリット

授業の内容を先取りするというのは、興味をもてるかもしれない反面、「明日の授業はつまらないな」「明日は苦手そうだな」というマイナスの先入観を抱いてしまう危険もあります。

また、「もう分っているから大丈夫」と油断し、授業を軽視してしまう可能性もあるので、取り組み方には注意が必要。子どもの負担になりすぎないように配慮する必要もあります。

こんな子には予習がおすすめ

  • 苦手な教科がある
  • 授業で何を発表したらいいか分からない
  • 授業で問題を解けるかが心配

授業はどうしても、全員が完全に納得できるまで時間をかけることが難しいので、分からないまま気付けば授業が終わってしまっていた…という可能性もあります。そのため、理解がゆっくりな子や、じっくりと考えてから発言するタイプの子どもには、予習がおすすめ。先を見通すことによって、安心して授業に向かうことができます。

予習の取り組み方

  • 苦手な教科にしぼって取り組む
  • 教科書を読む
  • 少しだけ問題を解いてみる

予習を全教科取り組むのは時間的にも大変なので、特に苦手な教科にしぼるのがおすすめです。国語であれば教科書を読んでおく、算数であれば教科書を見て解き方を考えてみるのがいいでしょう。余裕があれば教科書の例題などを少し解いてみるのもいいと思います。

ただ理科に関しては、実験結果が分かってしまうと授業で取り組む楽しみが失われてしまいますので、予習はしない方がいいでしょう。

復習のメリットとデメリット、取り組み方

先生から出される宿題も、復習の一つです。小学校の間は復習をメインに取り組むことで、学習の定着をめざしましょう。

復習のメリット

復習は、その日学校で習った内容の振り返りです。学習内容をしっかり定着させられるのがメリットになります。

授業を受けただけで解き方を完全に理解したり、さまざまな問題に応用したりするのは難しいですよね。数日経って忘れてしまうことも少なくないので、家で復習することで何度も考え、思い出すのはとても良い方法です。学校から出される宿題も学習の定着のためにあるので、理にかなった方法と言えるでしょう。

復習のデメリット

復習そのものにデメリットはありませんが、やりすぎには注意が必要です。

予習と違い、復習には終わりがありません。学校で習った問題をもう一度解くだけでなく、発展問題や難関問題などもたくさんあるので、やりすぎると時間的な負担や心身の負担が大きくなってしまうのがデメリット。保護者がうまく調整しながら、無理なく取り組む必要があります。

こんな子には復習がおすすめ

  • 授業で分からないところがあった
  • 学校では解けた問題が、解けなくなってしまう
  • 単元テストはできても、まとめテストができない

授業を聞いていても解き方が分からなかったり、先生の言っていることがよく分からなかったりすることがあると思います。こんなときはぜひ、家で授業内容を復習しておきましょう。

また、「授業では解けたのに家で解けなくなった」ことが多い子どもにも、復習がおすすめです。学校では毎日たくさんのことを学習するので、短期記憶は次々に上書きされてしまいます。何度も繰り返し復習することで長期記憶に残し、いつでも思い出せるようにできるといいですね。

復習の取り組み方

  • 授業で解いた問題をもう一度解く
  • 市販のドリルや通信教材を使う
  • 1週間後、1か月後に繰り返し取り組む

学校で使う教科書や計算ドリルなどをもう一度解くだけで、立派な復習になります。「復習ノート」を作って取り組めば、自分の努力が形に残ってモチベーションアップにも。市販のドリルを購入する場合は、学校で使っている教科書の出版社名(啓林館、東京書籍など)を確認し、「教科書準拠」と書かれたものにすることをおすすめします。学校の授業と同じ教材、同じ順番になっているので、取り組みやすいですよ。

また復習においては、その日習ったことを振り返ることもいいのですが、1週間後や1か月後に改めて復習するのも有効です。忘れていそうなタイミングで取り組むことによって、より長期記憶に定着しやすくなります。


まとめ

・家庭学習で取り組むなら、まずは復習がおすすめ

・授業に不安がある場合は予習しておくと〇

・復習には終わりがないので、負担になりすぎないように気を付けて

今回は、小学生の家庭学習における予習・復習について解説しました。予習も復習もどちらも大切な学習方法ですが、小学生の間は復習を中心に何度も繰り返し取り組むことがポイントです。学校で学んだことを長期記憶に定着させ、いつでも思い出せるようにしていきたいですね。

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金島ちぐさ

元教員

国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。

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