入学早々、給食を嫌がる子ども。その理由と対応方法は?

学校で食べる給食は、栄養バランスや摂取量のことも考えられた、大変ありがたい存在です。ところが子どもにとっては、時に不安の原因になったりプレッシャーを感じる時間になったりすることも。

この記事では、給食を嫌がる子どもの「よくある理由」と「保護者ができる対応法」をご紹介します。

執筆 元教員 金島ちぐさ

給食につまずく子どもは少なくない

新1年生で、給食につまずく子どもは決して少なくありません。味が苦手だったり、上手に食べれなかったりと、まずは給食を嫌がる理由について考えてみましょう。

苦手な食べ物が多い

もともと苦手な食べ物が多いタイプの子にとって、給食は「毎日食べたくないものが出る」というイメージになってしまう可能性があります。

例えば「スープにキャベツが入っていた」「魚のおかずがあった」など、苦手食材が一つでもあると「給食が嫌だった」という気持ちに繋がってしまうのです。

その他にも、家で食べたことのない食材に苦手意識をもつケースもあります。我が家の場合は「もずく」や「菜の花」、「豆乳スープ」など、「言われてみれば食卓に並べたことがないな」と思うメニューが出たときに、「食べれなかった…」ということがありました。

上手に食べることができない

うまくつかめなかったり、こぼしてしまったりするから嫌だ、と感じる子どももいます。学校によって「給食セットは箸のみを持参する」あるいは「食器に箸も含まれていて全員同じものを使う」というパターンも多く、家であればフォークやスプーンも使いながら食べている場面で箸しかなかったり、箸が手のサイズに合っていなかったりすることもあります。その結果、上手に食べることができず、食べたくない気持ちに繋がってしまう可能性があります。

食べるのに時間がかかる

「食べるのが遅い」というのはよくある悩みです。お喋りが楽しくて食べることに集中できていないケースの他、「決められた時間までに食べ切らなければ」という不安がプレッシャーになり、周りのクラスメイトが食べ終わり始めると焦って余計に喉を通らない…ということも。今は給食を減らしてはいけないとか、全部食べ終わるまで残されるということはありませんが、「〇分までに食べ終わろうね」という声かけはありますので、そこにプレッシャーを感じているかもしれません。

人に見られている感じが苦手

「人と一緒に食事をとる」というのは、プライベートな時間を一緒に過ごしている感覚に近いものがありますよね。みんなで食べ始めてみんなで食べ終わるということも含め、飲食店でほかの人がいるシチュエーションとはまた違う、独特の空間になります。人前で食べるのが苦手な子、視線を感じやすい子にとっては、これだけで大きなストレスになります。

給食が苦手な子どもへの対応方法

頑張れ!と応援するだけでは解決しないのが、この給食問題。焦らずに時間をかけて対応方法を考えていきましょう。

子どもの気持ちを受け止める

給食を食べれなかった、給食を食べたくない、という言葉を聞くとどうしても「なんで?どうして?」と聞きたくなりますよね。もちろん理由を探して不安を取り除くことも大切なのですが、まずは「そうだったんだね」と、子どもの気持ちをただ受け止める時間をもつようにしましょう。質問攻めは子どもを追い詰めてしまうこともあるので、まずは落ち着いて子どもの言葉に耳を傾けてみましょう。

無理に食べさせようとしない

食事は、心と体、両方の影響を受けます。その日の体調や運動量、前日の食事量、天気や気分によって左右されるのは仕方のないことです。本人が「食べられない」と言っているのに食べることを強要するのは、解決になりません。「頑張る」以外の方法を探していくことがポイントです。

家で少しずつ“苦手”にチャレンジ

苦手な食べ物が多くて給食が嫌な場合は、食べられるものが増えてくることで自然に解決することが多いです。これまで食べたことがない食材に対して、いわゆる「食べず嫌い」になっていることもあるため、家でチャレンジしてみるのもひとつの方法。似た食材を一口から試してみたり、調理方法を工夫したりして、「知ってる」「ちょっと食べたことある」を増やすのがポイントです。

ただ、極端な偏食や食べ方への強いこだわりがある場合は、陰に発達障害等が隠れていることもあります。支援の方法も変わってきますので、気になることがあれば学校等へ相談してみてください。

時間内に食べる練習をする

家で家族と喋りながら食べたり、テレビや動画を見ながら食べたりしていると、食事時間が思っているより長引いているかもしれません。学校でも家と同じ調子で食べているなら、時間が足りなくなってしまいますよね。給食に集中していないせいで時間が足りないのであれば、家でも「黙食(話さずに食べる)」を取り入れて、時間内に食べる練習をするといいでしょう。

一方で、頑張って食べているのに間に合わないという子であれば、この練習はあまりおすすめできません。よりプレッシャーを与えることになり、給食だけではなく食事そのものに苦手意識をもってしまう危険があるからです。子どもに合った解決策を探していきましょう。

先生と協力して少しずつ給食に慣れる

完食を目標にする学校はどんどん減っているものの、「苦手なものも半分は食べようね」「おかずを減らしたらご飯のおかわりはできないよ」など、給食時の細かな決まりは先生によって違います。食べ切れる量だけを盛りつけて、それを完食することで少しずつ自信がついていきます。見られる感じが苦手な場合は、給食だけ別室で食べる方法もありますから、先生にも相談してみましょう。


まとめ

・無理に食べさせようとせず子どもの気持ちを受け止める 

・家庭で少しずつ新しい食材にチャレンジしてみる

・先生と協力し、少しずつ給食に慣れる

給食に苦手意識を感じることは、決して珍しいことではありません。食事そのものが苦手になってしまわないように注意しながら、少しずつ慣れていけるようにしたいですね。

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金島ちぐさ

元教員

国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。

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