
元刑事が警告!子どもを狙うSNS・ゲームアプリの恐怖と今すぐできる対策
現代の子どもたちにとってスマートフォンやタブレットはとても身近な存在で、SNSやゲームアプリを通じてたくさんの人とコミュニケーションを取る機会が増えています。
しかし、この便利な機能が悪意ある大人によって子どもを狙うツールとして悪用されるケースが後を絶ちません。
今回は、実際に起きた事件をもとに、SNSやゲームアプリを使った連れ去りの手口と対策について詳しく解説します。
執筆 元警察官 安井かなえ
目次
SNSを悪用した連れ去りの実態

デジタルネイティブ世代の子どもたちが最も注意すべきは、SNS上での見知らぬ人との接触です。
SNSを使った連れ去り事件の手口
2017年に発生した座間市9人殺害事件では、加害者がTwitter(現在のX)を利用し被害者と接触。9名の犠牲者のうち5名が未成年でした。
また、2021年6月、福井県内の男子児童がわいせつ目的で県外から来た男に誘拐され、性的被害に遭いました。男はSNS上で「興味のあるグッズをあげる」と児童を誘い出していました。
これらの事件に共通していることは、犯人は最初から悪意を見せていなかったこと。
「話を聞いてあげる」「助けてあげる」といった優しい言葉で接近し、少しずつ子どもの警戒心を下げ、徐々に信頼関係を築いてから実際に会うことを持ちかけてきます。特に、「親に言いづらい悩み」や「孤独感」を抱えている子どもは、 そこにつけ込まれるケースが典型的なのです。
LINEやSNSでの被害事例
2026年5月、SNSで知り合った14歳の少女に現金3万円を渡し、名古屋市瑞穂区のホテルでみだらな行為をしたとして、医師の男が逮捕されました。女子中学生のスマートフォンに残っていたSNSのやりとりなどから、容疑者を特定。
2人は事件の数週間前にSNSを通じて知り合ったとみられ、売春目的のメッセージを送り合っていました。
少女の同意があったとしても、これは立派な犯罪です。児童買春・児童ポルノ禁止法により、18歳未満との性的行為は違法であり、大人は絶対に許されません。子どもが「同意した」と思っていても、親や大人が保護する責任があります。
「ゲーム仲間」は安全?見落とされがちなチャット機能の罠

「SNSは危ないから」と注意していても、見落としがちなのがオンラインゲームのコミュニケーション機能です。
2026年4月、高知県の女子中学生が、ゲーム内で知り合った相手に誘われ、待ち合わせをして連れ去られそうになる事件がありました。犯人は子どもの信頼を巧みに得ていました。
子どもにとっては、「一緒に遊ぶゲーム仲間」は、現実の友達に近い感覚になることがあり、警戒心を麻痺させてしまうのです。
また、近年のゲームに搭載されているボイスチャット機能も、注意が必要です。
文字だけのやり取りよりも親密になりやすく、保護者の目が届きにくいのが特徴です。音声を通じて相手の人柄に安心し、実際に会ってしまい事件に巻き込まれるケースも後を絶ちません。
また、「課金アイテムをプレゼントするから」と経済的な魅力で子どもを誘い出し、「お礼に会ってほしい」と心理的な負い目を利用して面会を強要する悪質な手口も報告されています。
我が子を守るために。家庭でできる「3つの鉄則」

刑事として断言できるのは、予防こそが最善の策だということです。事件が起きてからでは遅いのです。ご家庭でできる具体的な対策を「3つの鉄則」としてご紹介します。
鉄則1:明確な「家庭内ルール」を作る
「スマートフォンは個室に持ち込まない」「夜9時以降は使わない」など、利用時間や場所のルールを明確にしましょう。そして何より、以下の点を子どもと固く約束してください。
・知らない人とは絶対に個人情報(名前、学校、住所、顔写真など)を交換しない。
・知らない人と絶対に会う約束をしない。
・少しでも「変だな」「怖いな」と感じたら、すぐに大人に相談する。
鉄則2:「何でも話せる関係」を築く
最も重要な対策は、子どもが危険を感じたときに、すぐに「お父さん、お母さん、聞いて」と言える親子関係を築いておくことです。
日頃から子どもの話に耳を傾け、興味関心(好きなゲームや友達関係など)を理解しておきましょう。オンライン上の友人について聞く際は、「どんなゲーム仲間がいるの?」と一方的に問い詰めるのではなく 、あくまで自然な会話の中で情報を把握することが大切です。
子どもが安心して悩みを打ち明けられる「安全基地」を築いてあげましょう。
鉄則3:「テクノロジー」を味方につける
子どもをネット上の危険から守るためには、声かけや家庭内ルールだけでなく、テクノロジーの力を活用することも欠かせません。
保護者がすべてを目で見て把握するのは難しいからこそ、機能や設定を味方につけて、リスクを減らす環境を整えておくことが大切です。
たとえば、ペアレンタルコントロール機能を使えば、子どもが利用できるアプリやWebサイトを年齢に応じて制限できます。トラブルにつながりやすいサービスへのアクセスを事前に防ぐこともできます。iPhoneの「スクリーンタイム」やAndroidの「Family Link」などを活用することをおすすめします。
また、位置情報の共有設定をしておけば、万が一のときにも子どもの居場所を把握しやすくなり、早期対応につながります。近年は、子どもの見守りをサポートするサービスも増えており、現在開発中の「SASENAI」 のように、家族で位置情報を共有しながら、日常の「安心」を支える仕組みも注目されています。
「今どこにいるか」を必要なときに確認できる環境を整えておくことは、子どもの安全対策のひとつになります。
さらに、子どものアカウントや友達を定期的に確認する習慣も重要です。
友達リストやフォロー相手を一緒に見ながら、見知らぬ相手が紛れていないかを確認することで、危険な接触の兆候に早く気づける可能性があります。
こうした確認は、監視のためではなく、子どもの安全を守るための見守りとして行うことがポイントです。
もしもの時、親がすべきこと

万が一、子どもが不審な相手と接触していることが分かったとき、何より大切なのは、保護者がまず冷静になることです。驚きや怒り、不安で感情的になってしまうのは当然ですが、そこで子どもを問い詰めたり、強く叱ったりすると、かえって本当のことを話せなくなってしまうことがあります。
まず行ってほしいのは、「証拠を残すこと」 です。
メッセージのやり取りや通話履歴、相手のアカウント情報などは削除せず、スクリーンショットなどで保存しておきましょう。
相手のユーザーIDやURLが分かる状態で残しておくと、警察や相談機関へ相談する際の重要な資料になります。
そして、保存した証拠を持って、速やかに最寄りの警察署や相談窓口に相談してください。早い段階で専門機関につなぐことが、被害の拡大を防ぐことにつながります。
そして何より大切なのは、子どもを責めないことです。 私が刑事だったころ、警察署に相談に来た保護者は、感情を抑えきれず子どもを強く叱っている 場面を多く見てきました。「どうしてそんなことをしたの」と言いたくなる気持ちは分かりますが、「話してくれてありがとう」「怖かったね」と、まずは子どもの気持ちを受け止める姿勢が必要です。
被害に遭った子どもは、すでに大きな不安や恐怖を抱えていることが少なくありません。だからこそ、最初に必要なのは怒ることではなく、安心させる言葉です。
子どもたちの世界は、いまや現実の生活空間とオンライン空間の両方に広がっています。そして、その両方で子どもを守れるのは、最も身近にいる大人です。
スマートフォンやSNS をただ一方的に禁止するのではなく、その便利さと危険性の両方を親子で理解し、正しく付き合っていくこと。
日頃のコミュニケーション、家庭内の明確なルール、そして技術的な対策を組み合わせながら、「困った時に相談できる環境」を作っておくことが大切です。 それこそが、見えにくいネット上の悪意から子どもを守る、最も現実的で強い備えになるのです。
まとめ
・SNSやゲームで子どもが知らない大人に狙われる危険がある。
・家庭でルールを決め、何でも話せる親子関係をつくることが大切。
・設定で見守りを強化し、異変があれば証拠を残してすぐ相談する。
子どもをSNSトラブルから 守るためには、「家庭での会話」「ルール作り」「設定による見守り」の3つを組み合わせることが大切です。 まずは今日から、お子さまとスマートフォンやゲームの使い方について話し合ってみてはいかがでしょうか。
安井かなえ
元警察官
小学生と幼稚園児までの3人の子どもの肝っ玉母ちゃん。警察庁外国語技能検定北京語上級を持つ。 交番勤務時代に少年の補導や保護者指導を経験後、刑事課の初動捜査班で事件現場に駆けつける刑事を経て、外事課では語学を活かし外国人への取り調べや犯罪捜査などを行う。 現在は、防犯セミナー講師として企業や市民向けに活動中。 好きな音楽はGLAY。