
「学校になじめない…」「五月病?」小1が5月につまずく理由と家庭でできること
「最近、学校に行きたがらない…」
「朝になると元気がなくなる」
入学したばかりの4月は楽しそうに通っていたのに、5月に入ってから急に様子が変わった。そんな不安を感じていませんか?
実は、小学1年生にとって5月は「つまずきやすい時期」です。
決して珍しいことではなく、多くの子どもに見られる変化でもあります。
ただし、この時期の関わり方によって、その後の学校生活への向き合い方が大きく変わることも事実です。
この記事では、小学1年生が5月につまずきやすい理由や、見逃しやすいサイン、そして家庭でできる具体的な関わり方についてわかりやすく解説します。
監修者:元教員 金島ちぐさ
目次
小1が5月につまずくのは珍しくない

4月は、新しい環境に対する緊張感や期待から、子どもは想像以上に頑張っています。いわば「無理をして適応している状態」とも言えるでしょう。
そして、ゴールデンウィークを境にその緊張がゆるみ、それまで気づかないうちに溜め込んでいた疲れが、一気に表面に出てきます。
その影響で、朝なかなか起きられなくなったり、「学校に行きたくない」と口にするようになったり、全体的に元気がなくなるといった「五月病」といわれるような、変化が見られることがあります。
学校現場でも、GW明けから登校しぶりが見られる子は毎年一定数います。これは特別な問題ではなく、多くの子どもが経験する「適応のプロセス」のひとつです。
小1が学校になじめない主な理由

小学校に入ってからのつまずきは、ひとつの原因で起きるものではなく、いくつかの要因が重なって生まれることが多いです。
環境の変化によるストレス
まず大きいのが、環境の変化によるストレスです。保育園や幼稚園とは異なり、小学校では「座る」「話を聞く」「時間を守る」といった行動が求められる場面が増えます。これまでよりも集団でのルールが重視されるため、子どもにとっては大きな負担になります。
人間関係の不安
次に影響が大きいのが、人間関係の不安です。入学したばかりの時期は、まだ友達との距離感がつかめず、どのように関わればよいのか戸惑うことがあります。ちょっとしたすれ違いやトラブルでも、不安やストレスを感じやすい時期です。
学習・授業の負担
4月の初めは、給食を食べてすぐに下校するなど、学校にいる時間が短くなるよう配慮されていることが多いですが、GW明けになるとその期間も終わり、ほぼ毎日5時間授業を受けるようになります。その変化によって、子どもはより疲れを感じやすくなります。
さらに、学習や授業への負担も見逃せません。「座って話を聞く」「指示を理解する」といった行動自体が難しく感じる子も多く、「できない」という経験が重なることで、自信を失ってしまうことがあります。
生活リズムの変化
そして、生活リズムの変化も大きな要因です。早起きや通学による身体的な負担に加え、慣れない生活が続くことで疲れが蓄積していきます。その結果、心や体の余裕がなくなり、さまざまな不調として現れることがあります。
こうした「生活」「人間関係」「学習」の負担が重なり合うことで、子どもは少しずつバランスを崩していきます。
見逃しやすい“サイン”とは

子どもが「学校に行きたくない」とはっきり言葉にするケースは、実はそれほど多くありません。むしろ多くの場合、不安やストレスは行動や体調の変化として現れます。
例えば、朝の準備がなかなか進まなくなったり、頭痛や腹痛を訴えることが増えたりすることがあります。急におねしょをするようになったり、まばたきが増える、咳ばらいを繰り返すといった、いわゆる「チック」のような症状が見られることもあり、こうした変化も珍しいものではありません。
また、家でイライラしやすくなったり、急に甘えが強くなったり、これまでよく話していた子が無口になるなど、日常の中での小さな変化として表れることも少なくありません。
こうした変化は「問題」ではなく、子どもからのサインです。「どうしてできないの?」と原因を追及するのではなく、「何か困っているのかもしれない」と受け止める視点を持つことが大切です。
放置するとどうなる?

こうしたサインを見過ごしてしまうと、子どもの中で「学校=つらい場所」という認識が少しずつ強くなっていきます。最初は小さな違和感だったものが、「行きたくない理由」として積み重なっていくイメージです。
その結果、「自分はうまくできない」「どうせできない」という感覚が芽生えやすくなり、自信を失ってしまうことがあります。また、学校そのものに苦手意識を持つようになり、朝の準備に時間がかかる、体調不良を訴えるといった形で、登校へのハードルが徐々に高くなっていきます。
こうした状態が続くと、「行けない日」が増え、それがさらに自信の低下につながるという循環に入ってしまうこともあります。
ただし、必要以上に不安になる必要はありません。大切なのは、「早く気づき、適切に関わること」です。小さな変化の段階で気づき、安心できる関係の中で支えていくことが、その後の状況を大きく左右します。
家庭でできる関わり方

子どものつまずきに向き合ううえで、何より大切なのは「安心できる関係」をつくることです。ここでは、家庭でできる具体的な関わり方を整理します。
安心できる関係をつくる
子どもが不安や困りごとを感じたときに、「この人なら話しても大丈夫」と思える関係があるかどうかが、その後を大きく左右します。まずは、結果や正しさよりも気持ちに寄り添うことを意識することが大切です。
話を否定せずに聞く
子どもが話した内容に対して、すぐに否定したり正そうとしたりすると、次第に話さなくなってしまいます。「そうなんだね」「それはつらかったね」と受け止めることで、安心して話せる土台が生まれます。
無理に解決しようとしない
親としてはすぐに解決してあげたくなりますが、焦りは子どもに伝わります。アドバイスを急ぐよりも、まずは話を聞き、気持ちを整理する時間を大切にすることが重要です。
その一つの方法として、「思い切って1日学校を休んでみる」という選択肢もあります。休み癖がつくのではと心配になるかもしれませんが、親子でゆっくり過ごす時間を持つことで、張りつめていた気持ちがほぐれ、不安がやわらぐこともあります。
小さな成功体験を積み重ねる
「今日はここまでできた」といった小さな達成を認めることで、子どもは少しずつ自信を取り戻していきます。ハードルを下げ、成功体験を積み重ねることが、前向きな気持ちにつながります。
必要に応じて学校と連携する
家庭だけで抱え込まず、学校と情報を共有することも大切です。早い段階で相談しておくことで、学校側も子どもの状況に合わせた対応がしやすくなります。
子どもを守るうえで最も大きな力になるのは、特別な対策ではなく日々の関わりです。関係性こそが、子どもを支える最大の予防になると言えるでしょう。
まとめ
・小学1年生の5月は、つまずきやすい時期であり、多くの子どもが通る成長の過程
・変化を「問題」ではなく「サイン」として捉えることが大切
・安心できる関係を土台に、無理に解決しようとしない関わりが重要
すぐにうまくいかなくても大丈夫です。子どもにはそれぞれのペースがあります。少しずつでも「安心して過ごせる状態」を整えていくことが、結果的に学校生活を前向きにしていく一番の近道になります。
金島ちぐさ
元教員
国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。