
塾に行きたくない!?ストレスの原因とその対応法
「塾に行きたくない」と子どもが言い出した…そんなとき、親としてどうすればいいのか悩みますよね。たとえ自分から進んで通い始めた塾でも、毎日ずっと楽しい気持ちで通うのは難しいこと。時には面倒になったり、時にストレスを感じて行きたくない気持ちになったりすることもあるはずです。ただ、「じゃあ行かなくていいよ」と簡単に言うわけにもいかないですよね。
今回は、子どもが塾にストレスを感じているときの原因と、その対応法についてご紹介します。
執筆 元教員 金島ちぐさ
目次
子どもが「塾に行きたくない」と感じる6つの原因

子どもが塾へ行きたくないと言うとき、そこには何か理由があるはずです。まずは、どんなことが子どもにとってストレスになっているのか考えてみましょう。
学ぶことへのモチベーションが低い
勉強そのものに楽しさを感じていなければ、塾へ行くことがストレスになります。学校の勉強だけでも大変なのに、さらに塾でも勉強となると気が重くなるのも当然です。学校は「行かなければいけないもの」として受け入れている子どもでも、塾は「習い事だから行かなくてもいいのではないか」「どうして行かなければいけないのか」という疑問につながりやすいのです。このように学ぶ目的が見えなくなると、塾=ストレスになってしまいます。
宿題の量が多すぎる
高学年になるにつれ、学校の宿題をこなすのにも時間がかかるようになってきます。出されている量は変わらないように見えても、漢字や計算が難しくなるためです。学校の宿題だけでも大変なのに、塾の宿題もしなければならないとなれば、嫌になってしまうかもしれません。特に塾の宿題は発展的な内容や応用問題が含まれることも多く、時間がかかりがちに。勉強が嫌いだったり苦手だったりする子どもにとっては、より大きな負担になることに注意が必要です。
ほかにやりたいことがある
友だちと遊んだりゲームをしたりと、小学生の子どもにもやりたいことがたくさんあります。勉強よりもそちらを優先したい気持ちは自然なものです。最近はピアノや英会話、スイミングや習字など、複数の習い事を掛け持ちしている子どもも増えており、スケジュールが過密になりがち。「自由な時間がない」状態が続くと勉強へのモチベーションが下がってしまう可能性があります。
塾の授業についていけない
塾のレベルが子どもに合っておらず、授業についていけていないケースもあります。一口に塾と言っても、中学受験を目的とした塾や学校の進度に合わせて進めてくれる塾、予習型や復習型など、塾ごとに特色があります。理解度や学力に合っていない授業を受けると、「分からない」と感じる時間が長くなり、授業を受けることそのものがストレスになります。また、先生の質問に答えられなかったり、塾での成績が悪かったりすることで、勉強への自信をなくすことにもつながってしまいます。
塾の人間関係に問題がある
生徒同士の関係や先生との相性といった、人間関係に悩むケースもあります。塾のクラスに苦手な子がいる、知り合いがいないから楽しくない、先生が威圧的で怖いなど、子どもによって様々な原因が考えられます。こういった問題は家庭で解決することが難しいため、クラスや先生を変更できるかどうか塾側と相談する必要があります。
また、集団授業の緊張感があってこそ勉強ができるという子どももいれば、あのプレッシャーが苦手で力を発揮できないという子どもも。子どもの性格に合わせた塾選びも大切です。
成績が上がらない焦りがストレスになっている
努力が報われていないと感じることで、努力することが嫌になってしまう可能性があります。こんなに勉強しているのに成績が上がらないなら、塾なんて無駄なのでは?と考えてしまうんですね。コツコツ勉強を頑張っていても、成績が伸び悩む時期はあるものです。目に見える数字だけを求めるのではなく、自分自身がどう成長しているかに目を向ける必要があります。
子どもが塾へ行きたがらないときの対応法

子どもが塾に行きたくないと言い出したとき、まず大切なのは「説得」ではなく「理解」することです。原因に合わせた対応法を選び、解決に向けて親子一緒に考えてみましょう。
まずは子どもの気持ちに寄り添う
子どもが塾へ行きたくないと言ったら、親としてきっといろんなことを考えると思います。「自分で行きたいと言ったのに」「お金がかかっているのに」「これ以上成績が悪くなったらどうするの?」など、家庭によって様々な事情がありますよね。
それらをすぐ口に出す前に、まずは子どもの気持ちに寄り添うことがポイントです。子どもの「塾に行きたくない」に対して「そうなの?」「どうしたの?」「何かあったの?」など、塾へ行きたくないと思った理由を聞いてみましょう。その上で「そうだったんだね」と、子どもの今の気持ちを受け止めるワンクッションが大切です。
塾へ行く目的について考える
勉強に対するモチベーションが下がっているなら、なぜ塾へ行くことにしたのか?と初心を思い出す時間をつくりましょう。「苦手な算数ができるようになりたい」「行きたい学校がある」など、目的や目標を再確認することが、モチベーションを上げることにつながります。
また場合によっては、目的を達成するための道筋が塾だけではないかもしれません。いろんな選択肢のなかから塾を選んで通うことにした理由も、あわせて考えてみましょう。
頑張れたことやできるようになったことに目を向ける
成績が上がらないことに焦りやストレスを感じているときは、ネガティブ志向に陥りやすくなっています。そんなときは、「できるようになったこと」を一緒に見つけてあげましょう。例えば、取り組んだ問題数をカレンダーに書き込んだり、解けるようになった問題に丸をつけたりして、自分の頑張りを可視化してみましょう。人より勝っている、劣っているではなく、昨日の自分や1か月前の自分と比べてどうなっているかに目を向けることが大切です。
休息日を作ってリフレッシュする
大人でも子どもでも、毎日全力で頑張り続けると疲れてしまいます。塾の回数が多かったりほかの習い事があったりする場合は特に、意識して休息日を設けるようにしましょう。週に1日でも休息日があれば、友だちと遊んだりゲームを楽しんだり、勉強以外の時間がエネルギー補給になります。。こまめに適度なリフレッシュを取り、子どもが燃え尽きないようにフォローしたいですね。
クラスや塾を変えてみる
授業のレベルが子どもに合っていないと感じる場合は、クラスを変更してもらったり、塾そのものを変えたりする方法があります。例えば、家から近いからと決めた塾でも、実際に通ってみると「思っていたのと違った」となることはよくあります。先生との相性が良くないなら、塾に相談して先生を変えてもらうこともひとつの方法。親子での話し合いや塾との話し合いを十分に行い、子どもが前向きに塾へ通える手立てを考えてみてください。
塾を辞めるとどうなるか考えてみる
どうしても前向きな気持ちで塾へ行けないとなると、塾を辞めることになるかもしれません。塾を辞めることを検討する場合、塾をやめたらどうなるのか子どもと一緒に考えてみましょう。自分で勉強を頑張れるのか、分からない問題にはどう取り組むのか。通信教材や家庭教師、オンライン塾なども選択肢の一つです。
塾を辞めて終わりではなく、自分の人生を豊かなものにするためには勉強とどう向き合っていくのがよいか、考えてみるタイミングなのかもしれません。
まとめ
・塾へ行きたくない理由を考える
・まずは子どもの気持ちに寄り添うことがポイント
・原因に合わせた対応法で、子どもが前向きな気持ちになれるように
塾がストレスになってしまう原因と、塾へ行きたがらないときの対応法について考えました。塾を始めとした習い事は、必ずしなければならないわけではないため、モチベーションの保ち方が問題になりがちです。親子でよく話し合い、子どもが前向きな気持ちで勉強に取り組めるようにしたいですね。
金島ちぐさ
元教員
国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。