
夏休みの宿題のラスボス!?読書感想文の書き方のコツ
夏休みの宿題の中でも、毎年子どもたちが頭を抱えるのが“読書感想文”。読書感想文が一番イヤだ!というお子さんも多いのではないでしょうか。本を選んで、読んで、書く、と必要な手順が多いのも理由の一つだと思います。
今回は、本の選び方から書き方のコツまで、読書感想文についてお伝えします。
執筆 元教員 金島ちぐさ
目次
読書感想文を書くための流れ

読書感想文を書くのが苦手な子どもは、本選びからつまずいてしまうことが多いです。興味をもてる本であると同時に、字の大きさや漢字の数にも注目しましょう。
読書感想文の構成や書き方のポイントもわかりやすく解説していきます。
子どもに合った本を選ぶ
読書感想文を書くにあたって大切なのが、子どもに合った本を選ぶこと。絵を描くことが好きな子どもなら画家の伝記、スポーツをやっている子どもならスポーツを題材にした物語といったように、子どもが興味をもって読める本にすることがポイントです。
ただ、タイトルや表紙だけで決めてしまうと、長すぎたり、読めない漢字が含まれたりすることも。せっかく興味をもって読み始めても読み切ることができなかったら残念ですよね。「青少年読書感想文全国コンクール」が毎年選定している課題図書も参考にしながら、実際に中身も見て、子どものレベルに合った本を選びましょう。
付箋を付けながら読む
読書感想文を書くためにまず本を読みますが、このとき、心に残った場面やセリフをチェックしておくと後で役立ちます。付箋を貼ったり、印を付けたりしながら読み進めましょう。本を読むことが苦手でなければ、1回目はそのまま読み、2回目で付箋等をつけるのがおすすめです。読み返すうちに印象が変わったり、新たに気付いたりすることもあるので、できれば何度か読みたいですね。
読書感想文の構成は?
本を読んだらいよいよ読書感想文を書きましょう。構成に沿って書く内容を整理すれば、まとまりのある文章を書くことができます。書きたいことや伝えたい内容を絞り、狭く深く書くのがポイントです。
【はじめ】その本を選んだ理由、読む前の印象
読書感想文の導入である「はじめ」では、その本を選んだ理由や読む前の印象を書きます。なぜ読みたいと思ったのか、どんなところに興味をひかれたのか、どんな本だと思ったのかを伝えましょう。「主人公が自分に似ていたから」「表紙の絵が楽しそうだったから」「友だちに薦められたから」といったことを手短かに書くとよいですよ。
【なか】簡単なあらすじと、本を読んで感じたことや自分の体験談
「なか」には主に2つの内容を書きます。
まず、本の簡単なあらすじ。登場人物や物語の舞台、内容についてです。ここで注意することは、とにかく簡潔に書くこと。細かく書きすぎると文章が長くなりすぎるため、要点を押さえてシンプルに。「本の紹介文」にならないように、気を付けましょう。文字数制限があってどうしても書けない場合は、無理に書こうとせず、省略しても大丈夫です。
次に、読書感想文のメインである本の感想や自分の体験談等を書きます。詳しいポイントは次の章で紹介します。
【おわり】本から学んだことや、今後の自分について
「おわりに」で、読書感想文全体を締めくくります。読んだ後に自分の気持ちがどう変化したか、何をしたいと思ったか、反対に何をやめようと思ったかなど、今後の自分自身の考え方や生活に起こる変化を書きましょう。
読書感想文にはこれを書こう!書き方のコツ

読書感想文のメインはなんと言っても本の感想です。主人公の気持ちになって書いたり、自分の体験談を交えたエピソードにしたり。「どんなことを書けばいいの?」と迷う子にもわかりやすい、5つのコツを紹介します。
「主人公のここがすごい!」
自分と主人公を比較するのは、読書感想文のオーソドックスな手法です。主人公が、自分には思いつかないような行動をしたり、考え方をしたりするところはありませんでしたか?主人公以外の登場人物に注目してもOKです。好きな登場人物がいるなら、その人のことがなぜ好きなのか、なぜすてきだと思うのかを深堀りしていくのもいいですね。
「もしもわたしが主人公だったら…」
主人公になりきって自分の考えを伝えるのも、書きやすい方法なのでおすすめです。印象的なシーンをあげて、もし自分だったらどうするかな?と考えてみましょう。諦めてしまう?助けを求める?それとも自分で何とかする?と想像することで、物語への理解も深まります。主人公と違う部分だけではなく、共感できる部分を見つけるのもいいですね。
「わたしにもこんな経験があるよ」
主人公と似た経験をしたことがあるなら、自分の経験と比較してみるのもいいですね。何か失敗をしてしまった経験、友だちや兄弟とケンカした経験、緊張した経験や成功した経験など、小さなことでかまいませんので、自分と重なる部分がないか考えてみましょう。
「この本を読んで初めて知ったよ」
環境問題や社会問題を扱った本、伝記、エッセイ、図鑑や絵本まで、学校からの指定がない限りはどんな本でも読書感想文の対象です。本を読んで初めて知ったことがあれば、そこを切り口に読書感想文を書きましょう。初めて知ったことがあれば、本をきっかけに興味をもってその分野について調べることができます。そうすると「おわり」で、自分が今後どう行動するかという部分にもつなげることができますよ。
「この本を読んで考え方が変わったよ」
主人公や登場人物の言動を読んで、自分の考え方が変わることもあると思います。あの行動がステキだったから自分もやろう、自分もこういう考え方をしていきたいな、など、自分が変わるきっかけになるようなシーンを取り上げてみましょう。読むときに貼った付箋を活用しながら、印象的な場面を思い起こしてみてください。
まとめ
・興味をもてる、共感しやすい本を選ぶ
・「はじめ」「なか」「おわり」のまとまりごとに考える
・読んだあとに「自分の心がどう変わったか」に注目する
以上、読書感想文の書き方のコツをご紹介しました。
今日紹介したコツのすべてを網羅する必要はありません。子どものレベルや性格に合った筋書きにすることが大切です。ポイントを押さえて、自分なりの読書感想文を完成させましょう。

金島ちぐさ
元教員
国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。