「早くやればいい」は間違い?夏休みの宿題の取り組み方のコツ

暑い暑い夏休み。夏休みが始まると、親子で気になるのが『宿題、いつやる?』問題。とにかく早く終わらせればOK!と思われがちですが、実はコツコツ取り組むほうが学力定着には効果的なんです。今回お伝えするコツを意識しながら夏休みの宿題に取り組んでみてください。

執筆 元教員 金島ちぐさ

夏休みの宿題がある理由

夏休みの宿題、実は保護者にとってもサポートや丸付けが必要で少し面倒に感じることも。保護者や教師の負担を減らそうという流れの中でも夏休みの宿題がまだ残っていることには、理由があります。

毎日学習する習慣を崩さないため

これはわたし自身の学生時代を振り返ってみて感じることでもあるのですが、もし夏休みに宿題が一切なかったら、子どもたちが自分から進んで机に向かうことはないでしょう。友だちと遊んだりゲームをしたり、勉強なしで過ごす夏休みも楽しくて心には残ると思いますが、一方で机に向かう習慣が崩れてしまうのは問題です。えんぴつを持つことや字を書くこと、計算をすることなど、基本的な学習習慣を崩さないために、多くの小学校で夏休みの宿題が用意されています。

1学期に学んだ内容を定着させるため

学習を定着させるためには、似た問題に繰り返し取り組むことがとても有効です。小学校1年生が繰り返しひらがなカタカナを書くように、漢字にも計算にも繰り返し取り組むようにしましょう。子どもたちは学校で毎日新しいことを学んでいますので、子どもにとっては、覚えたことを忘れてしまうのはよくあること。長期休暇のタイミングで復習しておくと安心です。

2学期以降の学習をスムーズに進めるため

2年生以降の夏休みでは、前学年で習った内容が宿題として出ることがあります。これは、前学年で習った内容を使って今学年の学習を積み上げていくからです。前学年で習った内容となると忘れてしまっていることもあるので、2学期以降の学習をスムーズに進められるように復習しておきたいですね。

夏休みの宿題を「早くやればいい」は間違い?

このように、夏休みに宿題が用意されていることには理由があります。これらの理由を考えると、「夏休みの宿題はとにかく早く終わらせればいい」と考えるのは少し違うかも?と感じられるでしょう。

もちろん、宿題をやらずに溜めるよりは早めに取りかかる方がいいと言えます。最終日に慌ててやるよりは、初日に集中して取り組む方がいいですよね。ただ極端に言うと、夏休み初日に宿題を全部済ませ、残り30日以上を勉強せずに過ごしたら…。毎日学習する習慣も、1学期に習った内容も、失われてしまうかもしれませんよね。

夏休みの宿題は、「毎日コツコツ取り組む」ことをおすすめします。

夏休みの宿題の取り組み方のコツ

夏休みの宿題を「毎日コツコツ」取り組むには、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。コツをいくつかご紹介します。

夏休みの宿題をすべて書き出す

まずは、夏休みの宿題を把握するところから始めましょう。学校からも宿題の一覧表はもらうと思いますが、それぞれの取り組み方や注意書きも一緒に書かれていることも多く、パッと見て分かりづらいことがあります。「夏ドリル」「読書感想文」「絵日記2枚」など、なるべくシンプルな言葉で書き出すことで、宿題の総量を体感しやすくなりますよ。

宿題ごとに完了予定日を決める

読書感想文や自由研究、ポスターといった大きな宿題は、並行して取り組むと手が回らなくなって大変な思いをするかもしれません。

  • 夏ドリルは1日2ページずつ取り組む
  • 7月中に読書感想文を書く
  • お盆までに自由研究をする
  • お盆明けに絵日記を書く
  • 7月後半の丸一日を使ってポスターを描く

といったように、宿題ごとの完了予定日を決めていきましょう。

家族の予定や習い事のスケジュール等も考えながら、なるべく無理なく取り組めるようにするのがポイントです。帰省や旅行の予定があるなら、その後に絵日記、ポスターといった宿題を持ってくると題材に困りません。ドリルは1日でまとめてやるのではなく、毎日少しずつ取り組むようにするのがおすすめですよ。

宿題に取り組むタイミングを決める

「いつ宿題をするのか」というのも、夏休みの宿題に取り組む上で大切なポイントです。「宿題はいつするの!?」「あとでやる!!」のやり取りを繰り返し、気付いたら夜…という事態は避けたいですよね。

宿題に取り組む時間帯としておすすめなのは、やはり朝一番。朝食や身支度を済ませたら、すぐに宿題タイムという流れがおすすめです。ゲームや遊びはその後にするルールにすれば、1日のリズムも整います。

もちろん、家族の予定や習い事の都合などでこの通りにいかないことはあると思います。「お昼ご飯を食べたら宿題タイムにする」「夕飯までには宿題を終わらせる」というように、それぞれに合わせたルール作りを心がけてください。

週に1回、進み具合を確認する

毎日しっかり決めた通りに宿題をこなせればいいのですが、急な予定が入ったり、時には遊びの誘惑に負けてしまったりしますよね。小学生になれば、その日1日という短い目標設定から少し冒険して、1週間単位で進捗の確認をしてみるのもおすすめです。少しサボってしまった日があっても、1週間でここまでできていればOK。反対に、前半に集中して宿題に取り組み後半は遊びを多めにしてもOK。自分の体と心の調子と相談しながら、宿題の量を調整してみましょう。

中学生以降、定期考査前のテスト勉強スケジュールや、出された課題をどうこなしていくかを考えるための練習にもなります。

「楽しみ」を用意しておくのも〇

夏休みはとても長いので、中だるみしてしまうのは仕方ないと思います。夏休み中盤~後半にかけて、子どもにとっての「楽しみ」を用意しておくのもいいですね。旅行へ行ったりテーマパークへ出かけたりといった予定があるといいのですが、こういった特別なイベントはなくても、「この日は1日中ゲームしていいよ!」「この日はおやつパーティーをしよう!」など、気軽に子ども心をくすぐる予定もあります。子ども自身に1日のスケジュールを決めてもらうのもいいですね。カレンダーにひと言書くだけでその日が待ち遠しくなりますし、ワクワクした気持ちを楽しめると思いますよ。


まとめ

・夏休みの宿題はコツコツ取り組むのがおすすめ

・週に1回、進み具合を確認しよう

・夏休みの「お楽しみ」も忘れずに

夏休みの宿題の取り組み方についてお伝えしました。

実は、夏休み明け「1学期に学習した内容を忘れている!」という子どもは少なくありません。途中で気持ちがゆるんでしまうこともありますが、週単位で調整しながら、無理なく取り組める工夫をしていきましょう。夏の思い出も、宿題も、どちらもバランスよく楽しめるといいですね。

アバター画像

金島ちぐさ

元教員

国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。

特集記事

CONTACT

会社についての

お問い合わせはこちら