
自転車も「青切符」が導入!最新ルールと交通安全対策
自転車は、送迎や買い物、趣味のサイクリングなど、日常的に多くの人が利用しています。便利な反面、ちょっとした気の緩みが大事故につながることも。
2026年4月から導入されるいわゆる「青切符制度」が導入されると、自転車のルール違反に対する取り締まりは一層厳しくなります。
ぜひ知っておきたい最新の交通ルールと対策を紹介します。
執筆 元警察官 安井かなえ
目次
自転車の交通ルールを知ろう

基本のルールとは?
道路交通法上、自転車は「軽車両」として位置づけられています。これは歩行者ではなく車両となり、基本は車道の左側を走るのがルールです。
ただし、歩道は例外的な場合のみ通行が許されています。「歩道通行可」の標識がある場合と13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者、または車道が危険な状況にある場合のみ通行が許されています。つまり、小学生以下と高齢者は歩道を走行しても良いとされています。
自転車も、信号や一時停止などの交通規則は自動車と同じように適用されます。夜間に走行するときは前照灯と尾灯または反射器材の装備することが道路交通法第52条で義務づけられています。
また、2023年4月からは、すべての自転車利用者に対してヘルメット着用が努力義務化されました。自転車死亡事故の64.0%が頭部に致命傷を負っているのです。
わが家では「自転車は車の仲間」と子どもたちに教えています。「だから車と同じルールを守らないとね」と具体的に話すと、子どもたちにもわかりやすいと思います。
2024年改正道路交通法と青切符制度

2024年5月に成立した改正道路交通法により、2026年4月1日から「青切符制度(交通反則告知制度)」が自転車にも適用されます。これは16歳以上の自転車利用者が対象で、信号無視やながら運転、逆走などなんと113種類の違反行為に適用されます。
反則金の例
ながら運転:1万2000円
信号無視/逆走:6000円
一時不停止:5000円
ブレーキ不良:5000円
2人乗り:3000円
青切符は所定の反則金を納付さえすれば刑事罰を免除されますが、酒気帯び運転などの重大違反は「赤切符」で刑事手続きに進みます。
これまで自転車の違反に対する取り締まりは単なる注意カードだけ、または赤切符による刑事手続きしかなく、手続きにかなりの時間を要していました。
これまではとても効率が悪かったため、見過ごされることが多かったのが実情ですが青切符導入によりルール違反の摘発が格段に増えることは間違いないでしょう。
よくある違反とその危険性

私が現場で最も多く見てきた違反は、スマホを見ながらの運転、傘さし運転、2台以上の並走です。
特に印象に残っているのは、大学生が交差点でスマホに気を取られ、右折してきた車に気づかずに衝突した事故です。一瞬の不注意が取り返しのつかない結果を招きました。
警察庁の2022年度統計によると、自転車関連事故は全交通事故の約2割を占め、その多くがこうした基本的なルール違反に起因しています。青切符導入後は、これまで注意だけで済まされていた軽微な違反も取り締まりの対象となります。
自転車を安全に使うために

1.安全装備はしっかりと
自転車の安全はしっかりとした装備から。まず安全装備と言えば、ヘルメット。現在の法律上ではヘルメット着用は努力義務ですが、事故が起きたときのことを考えると着用することをおすすめします。自治体によっては、ヘルメット購入補助金制度もあるようです。
交通事故総合分析センターの研究によれば、ヘルメット着用により頭部重傷リスクが約7割減少するというデータがあります。
また、夜間の走行には、LEDライトと反射材がおすすめです。暗い色の服を着ている場合、暗闇では全く視認できず、ライトや反射材の重要さを実感しています。ちなみに、前照灯は白色、尾灯は赤色と法律で定められており、これらは自転車販売店やインターネットなどでも気軽に購入ができます。
自転車の定期点検も行いましょう。特にブレーキ、タイヤの空気圧、チェーンの状態は最低でも月1回は確認してください。地域によっては警察による小学生や中学生向けの安全点検イベントも開催されています。たった5分の点検が、自分や家族の安全を守ります。
2.安全な運転習慣
安全運転の鍵は「予測と注意」です。これは自転車以外でも共通して言えることですが、交差点では必ず左右を確認し、対向車や歩行者の動きを予測しましょう。
車のドライバーから見えにくい死角に入らないよう意識しましょう。車から見てどこが死角になるのか、お子さんと一緒に確認してみるとわかりやすいですね。
ながら運転は2024年11月から罰則が強化され、青切符の対象となります。私が警察官だった頃、ながらスマホで負傷した若者に「LINEの返信は命より大切だったの?」と先輩が問いかけていました。その言葉は今も私自身への戒めとなっています。
雨天時は視界が悪化し、路面が滑りやすくなるため、通常よりスピードを控えめにし、早めのブレーキ操作を心がけましょう。急ぐ必要がなければ、焦りからくるミスも減るからです。
3.地域の課題と対策
大きな道路には自転車レーンの整備が進んでいない場所も多く、路上駐車が安全な走行の妨げになることがあります。私の住む大阪では、歩道や地下鉄出口をふさぐ迷惑駐輪の様子が頻繁に報道され、社会問題となっています。
また、地域によっては独自のルールがあります。例えば、東京都千代田区には「自転車安全利用条例」による走行規制があります。
地域の警察署や自治体のウェブサイトで確認してみましょう。
子育て視点での安全と防犯

子どもには早い段階から交通ルールを教えましょう。
私は小学生の子どもに、実際の道路で「なぜ赤信号で止まるのか」「なぜ右左を確認するのか」を具体的に説明しています。抽象的な説明より、「ここで確認しないと、あの角から来る車に気づけないよ」という具体例の方が子どもはわかってくれると思います。
子どもを乗せるための自転車を選ぶ際は、SGマーク付きの製品を選びましょう。
チャイルドシートのベルトは必ず装着し、親も子どももヘルメットを着用してください。子どもは親の背中を見て育つからこそ、まず親が模範を示すことが大切です。
防犯との関連

自転車盗難は全国で年間約30万件発生しています。ワイヤーロックだけでなく、丈夫なU字ロックも併用したダブルロックが効果的です。犯人の多くは、鍵をこじ開けたり壊すのに手間がかかる自転車を避ける傾向があります。
子どもが自転車で外出する際は、不審者対策も教えておきましょう。明るい道を選ぶ、複数で行動する、困ったときは大声を出すなどの基本的な防犯知識を伝えてください。
わが家では、定期的に「もし知らない人に声をかけられたらどうする?」といったロールプレイングも行っています。
自転車のルール遵守と安全対策は、命を守るためにとても大切なことなのです。
2026年4月の青切符導入を前に、自転車の点検、ヘルメット着用、子どもとのルールを話し合うなど、すぐに実践できることから始めましょう。
まとめ
・自転車は「軽車両」であり、法的責任が伴う乗り物
・2026年4月から青切符制度が導入され、違反行為には反則金が科される
・ヘルメット着用、ライト点灯、定期点検など、日頃の安全対策が命を守る
自転車は「軽車両」として法的責任があり、2026年からは青切符による取り締まりが強化されます。ヘルメットの着用、ライトの点灯、定期点検は命を守る基本です。
ながら運転や信号無視は重大な事故につながるため、親が手本を示し、子どもには具体的にルールを教えましょう。家族の命を守るために、日々の安全意識が大切です。

安井かなえ
元警察官
小学生と幼稚園児までの3人の子どもの肝っ玉母ちゃん。警察庁外国語技能検定北京語上級を持つ。 交番勤務時代に少年の補導や保護者指導を経験後、刑事課の初動捜査班で事件現場に駆けつける刑事を経て、外事課では語学を活かし外国人への取り調べや犯罪捜査などを行う。 現在は、防犯セミナー講師として企業や市民向けに活動中。 好きな音楽はGLAY。