
子どもが発表会前に緊張してしまう!緊張する理由と、フォローのポイント
3学期は発表会の季節。幼稚園や保育園、小学校でも、お遊戯会や学習発表会などがあるのではないでしょうか。
本当に練習してるの?真面目にやってる!?と心配になるタイプの子どももいますが(わたしの長男はこのタイプ)、毎日家で繰り返し練習したり「今日○○さんが先生に怒られてた…」とナイーブになったりする子どももいます(長女がこちらのタイプ)。今回は、発表会前に緊張してしまうタイプの子どもに焦点を当て、フォローのポイントをお伝えします。
執筆 元教員 金島ちぐさ
目次
子どものこんな変化は、緊張のサインかも

子どもがイライラしたり元気がなかったりする様子は、もしかしたら緊張のサインかもしれません。緊張のあらわれ方は人それぞれですが、いつもと違う様子が見られたときは少し気にしてみてください。
家で何度も練習する
本番前には練習の宿題が出ることもありますが、必要以上に練習を繰り返したり、合っているか何度も確認したりするようであれば、それは緊張のサインかもしれません。間違えるたびに怒ったり泣いたりしてしまうのも、不安の表れです。
小さな体調不良がある
食欲が落ちる、お腹が痛くなるなど、少し体調が悪くなりやすくなる子どももいます。わたしの息子(小学2年生)も、学習発表会前の2週間ほど、朝学校へ行ってから気分が悪くなることが続きました。陽気でやんちゃな性格なので緊張とは無縁かと思っていましたが、発表会が終わると同時にぴたりとなくなったので、関係があったのだと思います。
ほかにも、夜寝付きにくくなったり、久しぶりにおねしょをしたり、なんとなくイライラした様子になったりと、子どもによって緊張の出方はさまざまです。この子に限って?と思うこともあるかもしれませんが、いつもと違う様子が出たら気にしてあげてください。
幼稚園や学校へ行きたくなくなる
先ほどお話しした「小さな体調不良」ともつながって、幼稚園や学校へ行きたくなくなってしまう子どももいます。朝、「お腹が痛い」「しんどい」と言い出すかもしれません。
冬は日照時間が短くて寒いので、大人でもなんとなく気が重くなることがありますよね。また、子どもたちは「緊張する」という状態にまだなじみがないので、なぜ幼稚園や学校へ行きたくないと感じるのか、自分でも分からないかもしれません。まずは学校へ行きたくないと感じた原因について、ゆっくり話を聞いてみましょう。
発表会で緊張してしまう理由は?

緊張せずにいつも通りやればいいんだよ、と言うのは簡単ですが、それがなかなかできないもの。子どもが発表会を前に緊張してしまうのには、理由があります。
初めてのことにチャレンジするから
初めてのチャレンジは、誰だってドキドキしますよね。幼稚園や保育園での初めての発表会はもちろんですが、小学校になって規模が大きな発表会になるのもまた、子どもにとっては初めての経験です。本番はどんな雰囲気なのか?自分の声は届いているのか?親や先生になんて言われるだろうか?という不安な気持ちが、緊張につながります。
完ぺきな姿を見てほしいと思うから
責任感の強い子どもほど、「失敗してはいけない」「本番は一番上手にできないといけない」と頑張りすぎてしまう傾向にあります。
もちろん一生懸命頑張ろうとする姿はすばらしいのですが、本番は大抵、緊張のせいでいつも通りにできないものです。子どもに緊張した様子が見られるのであれば、これ以上緊張しないように、過度な期待の声かけは避けた方がいいでしょう。
過去に失敗した経験があるから
「運動会でこけてしまった」「音楽会で歌詞を忘れてしまった」など、本番でなにか失敗した経験があると、どうしても「次も失敗してしまうのでは」という気持ちになります。親からすると「そんなことで?」と思うようなことが、子どもの心に残っているケースも少なくありません。また、練習中にした失敗で「本番でも間違えたらどうしよう」と不安になることもあります。
親からのフォローのポイント

子どもが緊張した様子だと、親の方が「この子大丈夫かしら」と不安になってしまいますよね。でもここで、心配や否定の声かけをしてしまうと、子どもはもっと緊張してしまいます。どんなフォローをすればいいのか、ポイントをお伝えします。
緊張する気持ちに共感し、肯定する
まずは、緊張してしまう子どもの気持ちに寄り添うことがポイントです。つい「大丈夫だって!」「そんなこと気にしてるの?」と思ってしまうことがあるかもしれません。でも、小さな子どもにとっては「そんなこと」が「大きなこと」なのです。
「お母さんも子どものとき、発表会前は緊張したなあ」「ドキドキして落ち着かなくなっちゃうよね」と共感してもらえると、少し気持ちが落ち着くはずです。緊張するのは悪いことではありません。発表会に真剣に向き合い、成功させたいという熱意があるからこそ、緊張してしまうのです。
緊張=ワクワクだと言い換える
「ワクワクドキドキ」というフレーズがあるように、楽しみにする気持ちと緊張する気持ちには相関性があります。心臓がバクバクすると「これは緊張だ!」と感じるかもしれませんが、実は「楽しみでワクワク」しているのかも?
緊張しているということは、それだけワクワクしているということなんだよ、と伝えてあげることで、子どもの緊張の捉え方に変化が出るかもしれません。
日頃からできている部分を褒める
簡単に言うと、自信をもたせてあげることが、緊張を乗り越える力になります。自分はできる!という自信をもつことができれば、自然と緊張がなくなり、堂々と発表会に臨めるようになるでしょう。もちろん学校で練習を重ねるのもそのためですが、親からの声かけも大きな影響があります。
ただ、普段から褒める習慣がないと、いざこういうときにどんな声を掛けたらいいのか悩んでしまいますよね。ぜひ、発表会前だけではなく、日頃から「○○ができるようになったね」「最近○○を頑張っているよね」と子どもの頑張りポイントを見つけて伝えてあげてください。
クリアしやすい目標を設定する
入場から退場まで、すべて100点をめざすのはプレッシャーがかかります。たとえば「始めと終わりのおじぎを忘れない」や「セリフをゆっくり言う」など、気を付けるポイントを絞ることで、プレッシャーが多少和らぎます。また具体的な目標を設定することで、そこに対する集中力が増すという利点もあります。仮に、発表会中に思わぬ失敗があったとしても「目標にしていたことは達成できた」と考えられるようになるため、おすすめしたい方法です。
まとめ
大舞台で緊張しない大物がいることも確かで、「もしかしてうちの子は小心者?」と思われるかもしれませんが、こうした緊張を乗り越えることで得られる成長ももちろんあります。大舞台で緊張するのは、感受性が豊かだったり、周りのことをよく見て考えているからだったりします。緊張をポジティブに捉えて、成功しても失敗しても褒めてあげられるようにしたいですね。

金島ちぐさ
元教員
国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。