夏休み明けに学校へ行きたがらないとき、どうする?元小学校教諭が教える効果的な対処法5つ

夏休みが明けると、子どもが学校へ行きたくないと言い出すということを耳にすることがあります。実際、長男(現中学生)が小学生の時は、夏休み明けは登校渋りをしていたので、いかに学校に行かせるかとても悩みました。今下の子(現小学校低学年)は「ずっと夏休みが良い」などと、たまに口にするため、また上の子の時みたいに苦労するのかな、と不安が頭をよぎることがあります。

それに「不登校」の子どもがいる学校は現在では珍しくありません。そのため無理に行かせることが得策ではないようにも思います。

そこで、SASENAI編集部が夏休み明けに学校へ行きたくない原因やそんな子どもとの関わり方を元小学校教諭の金島さんに聞いてみました。

夏休み明けに学校へ行きたくない背景は?

GW明けや夏休み明け、あるいは進級した4月のタイミングなど、休暇明けに学校へ行きたくなくなる子どもは少なくありません。登校渋りがあると、本人はもちろん親も大変ですよね。まずは学校へ行きたくない子どもの気持ちをじっくりと聞いてみましょう。

勉強に不安がある

授業についていけず、学校へ行くのが嫌になることがあります。特に小学校では「発表」の機会が多く、「発表する自信がない=自分は勉強が苦手なんだ」と思い込んでしまっていることも。間違えたらどうしよう、失敗したくないといった気持ちが強い、いわゆる「完璧主義」の子どもも、少しのつまずきで不安を感じてしまう傾向があります。また、体育や音楽など特定の教科に強い苦手を感じているケースもあります。

人間関係に不安がある

先生や友だちとの関係がうまくいかず、学校へ行きたくなくなることもあります。特にいじめられているわけではないけれど、なんとなく相性の良くない友だちがいたり、何かと意見がぶつかってしまう友だちがいたりするなど、友だち関係がストレスになっていないでしょうか。また、先生との相性も子どもに大きな影響を与えます。「真面目でていねいな先生なんだけど、厳しすぎて息が詰まる」「元気いっぱいで明るい先生なんだけど、声が大きくて怖い」など、その子なりの不安を抱えているケースも。クラスの子どもに好かれていたり保護者からの評判がいいからといって、我が子との相性もいいとは限りません。

学校環境に苦手がある

夏休みの間、家庭を中心にゆっくり過ごした子どもにとって、学校の喧騒をストレスに感じる可能性も大いにあります。もともと騒がしい場所が苦手だったり、集団行動が苦手だったりする子どもは、長期休暇明けはクラスに馴染みづらいと感じるかもしれません。ほかにも、給食が嫌、学校行事が嫌など、特定の場面に苦手を感じる子どももいます。

体調面に問題を抱えている

夏休み中に生活リズムが崩れてしまい、朝起きにくくなることがあります。つい遅くまでテレビを観てしまう。あるいはスマホやタブレットを所有している子どもが増えたことにより、動画やSNSをだらだらと見続けてしまうなど、普段と違う生活リズムになってしまっていませんか。就寝時間が遅くなると当然起床時間も遅くなり、いざ新学期に早寝早起きしようとしてもうまくいかず、心身の不調をきたす可能性が考えられます。

なんとなくやる気が出ない

勉強もそこそこ分かる、仲の良い友だちもいる、先生との関係も悪くない、でもなんとなくやる気が出なくて学校に行きたくない…。そんな登校渋りも耳にします。大抵は「朝起きれない」等の体調面の問題や、「自分に自信がない」「面倒くさい」といった精神面の問題につながります。

また、小学校低学年であれば「お母さんと離れたくない」という分離不安から登校渋りをする可能性もまだまだあります。

夏休み明けに学校へ行きたくないときの対処法 5つ

登校渋りがあったとき「行きたくない」「じゃあ行かなくていいよ」とはなかなかいきませんよね。学校へ行きたくない気持ちに寄り添いつつ、なるべく登校できるような手立てを考えていきましょう。

1.家庭学習で勉強の不安を取り除く

学校の授業についていけるか不安な場合は、家庭での予習がおすすめです。算数であれば教科書の練習問題を一度解いておいたり、国語であれば新出漢字をおさえてえておいたりするなど、家でできる取り組みをしてみましょう。完璧な予習ではなくても、「予習したから大丈夫」というお守り的な意味合いにもなります。

2.学校=勉強のイメージを変える

勉強が嫌だから、面倒くさいから、といった理由で登校渋りをする場合は、勉強以外の楽しみを見つけることで改善することがあります。休み時間に友だちと遊ぶのはもちろん、生きものの世話をしたり、学級菜園や花壇の手入れをしたりするなど、少しの役割が学校生活を楽しむきっかけになります。

余談になりますが、わたしの娘が小4で登校渋りをしたときは「朝、事務室の日めくりカレンダーをめくる」「昼休みに花壇で育てた花の種を取る」といった小さな楽しみのために、学校へ行き続けることができたのではないかと感じています。

3.人間関係の不安に寄り添う

友だちや先生との関係がうまくいっていない場合は、子どもの気持ちに寄り添っていく必要があります。

現状、学年途中でのクラス変更はほとんど行われないため、学年末まで今のクラスで生活していくことになりますので友だちとの相性がよくない場合は先生と、先生との相性がよくない場合は教頭・校長先生などと連絡を取りましょう。

養護教諭やスクールカウンセラーへの相談がいい影響を与えることも多々ありますのでお子さまの不安に合わせて相談をしてみてください。

4.別室登校等を検討する

学校に行く気持ちはあるけどどうしても教室にいづらい、といった場合は、「別室登校」も視野に入れます。

行くか、行かないかの2択になってしまうと、保護者としてはお友達との交流が途絶えてしまい、ますます学校に行きづらくなってしまうのではないかという不安や、学習の遅れが心配で何とか学校に行かせなくてはと躍起になってしまうことが逆に子どもの負担になり悪循環となることがあります。

別室登校の制度を使っていただくと、欠席扱いにならずに朝とりあえず別室に登校して、行けそうなら3時間目から教室に行く。教室で授業を受けていて、しんどくなったら別室に移動する。給食の時間だけ別室に移動する。など、子どもの希望や状況に応じたさまざまなパターンで利用できたりします「教室以外の居場所がある」ということが、子どもの安心材料になります。

5.必要に応じて専門機関へ相談する

朝布団から起き上がれない、登校しようとすると頭痛が出る、下痢をするなど、明らかな体調不良に悩んでいる場合は、一度医療機関を受診してみましょう。また、不登校の裏には発達障害や学習障害が隠れていることも少なくありません。困り感が強いようであれば、専門機関へ相談してみるのも一つの方法です。

【発達障害・学習障害に関する相談先 (一部)】

独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
発達障害教育推進センターでは、発達障害のある子どもの教育の推進・充実に向けて、発達障害にかかわる教員及び保護者をはじめとする関係者への支援を図り、さらに広く国民の理解を得るために、Webサイト等による情報提供や理解啓発、調査研究活動を行うことを目的としています。
下記URLでは相談できる機関を都道府県別に表示します。「並び替え」「地域」「県」を選ぶことで情報を絞り込むことができます。
https://cpedd.nise.go.jp/qa/kosodate/sodan/sodan-db


発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、各都道府県や政令指定都市に設置されており、発達障害のある者とその家族を支援するために設置された公的な施設です。発達障害のある幼児から成人までが対象となっており、発達や就労等に関する相談を受けたり、関係する機関との連携を持ちながらの支援を行ったりしています。また、発達障害に関する啓発活動や研修も行っています。なお、支援の詳細な内容は各センターによって異なります。センターの中にはアセスメントをしている機関、個別の支援計画を作成している機関、医師の診断を行っている機関もあります。どのようなサービスが受けられるかはお近くのセンターに直接お問い合わせ下さい。
http://www.rehab.go.jp/ddis/action/center/

まとめ

以上、夏休み明けの登校渋りについて考えてきました。明確な理由なく、小さな理由が積み重なった結果「なんとなく行きたくない」となったり、子ども自身も「なぜ行きたくないのか説明できない」となったりすることも多い登校渋り。まずは親子でゆっくり話す時間を設けてみましょう。

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金島ちぐさ

元教員

国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。

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