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2025.11.25  企業情報 アライアンス
米国ケンタッキー大学のIshanu Chattopadhyay博士と犯罪予測AIモデルの共同開発を開始しました

AI技術を活用した防犯システム「SASENAI」を開発するVxTech株式会社(本社:東京都、代表取締役:小野衣子)は、犯罪予測AIモデルの研究開発において、米国ケンタッキー大学 医学部 生物医用情報学部門の助教Ishanu Chattopadhyay(イシャヌ・チャトパディアイ)博士 を共同研究パートナーとして迎え、グローバルな共同開発体制を開始したことをお知らせいたします。

世界的権威との連携で、犯罪の「予兆」に挑む

Chattopadhyay博士は、複雑な社会現象の因果構造を予測するAIアルゴリズムの開発において国際的に高い評価を得ており、米・シカゴ大学在籍時には、警察による犯罪対応の地域格差をデータで可視化する研究や、通報に頼らず犯罪リスクを予測する革新的アプローチを発表し、注目を集めました。

VxTechが開発を進める防犯インフラシステム「SASENAI」は、危険な状況に遭遇した際に、子ども自身が危険を察知し判断・回避するといった“属人的な対応”に依存せず、AIが子どもに代わって危険を検知し、自動的に回避行動を実行することを目指す、次世代防犯ソリューションシステムです。

現在、日本国内における2024年の犯罪認知件数は約73万件を超え、3年連続で前年を上回る結果となりました。これは過去20年間で初めての傾向であり、社会全体の治安悪化が顕在化しています(※1)。また12歳以下の子どもの被害件数は過去5年で最多となり、2020年と比べて約1.5倍に増加するなど、弱い立場の子どもを取り巻くリスクが深刻化しています(※2)。さらに、被害者が幼い子どもの場合には犯罪に気づくことが難しく、報告が遅れてしまったり、申告がされないというケースが多くあることからリスクが表面化しづらい構造や既存の防犯手法の限界が課題としてあります。

※1:犯罪白書

※2:警察庁生活安全局人身安全・少年課作成資料より

こうした課題に対し、VxTechとChattopadhyay博士との連携により、犯罪が発生する前の段階でリスクを構造的に把握し、可視化・抑止できる新たな防犯モデルを構築していきます。

共同研究の重点領域

本共同研究では、以下の3つの領域を重点的に進めてまいります。

  • 地図上の犯罪リスクを可視化させる予測アルゴリズムの開発
  • 音声認識・自然言語処理によるグルーミングパターンの自動検出と評価モデル設計
  • データバイアスやプライバシー課題に配慮したAI倫理設計の確立

VxTechは今後も、国内外の研究者・技術者・実務家との連携を深めながら、子どもたちが安心して暮らせる社会の実現に向けて、防犯テクノロジーの研究開発と社会実装に挑戦してまいります。

■Ishanu Chattopadhyay博士

ケンタッキー大学 生物医科学情報学・計算機科学学科 助教
Assistant Professor, Department of Biomedical Informatics and Computer Science, University of Kentucky

ケンタッキー大学医学部 助教の Ishanu Chattopadhyay博士は、人工知能(AI)・機械学習・自動データ解析の分野における国際的な研究者です。既存の知識が限られた領域において、データから新たな構造や予測モデルを導き出す研究を専門としています。

同氏は、ケンタッキー大学医学部内に設立された 「ゼロ・ナレッジ・ディスカバリー研究室(Laboratory for Zero Knowledge Discovery)」 を主宰し、内科学および計算機科学部門の生物医科学情報学(Biomedical Informatics)助教として研究・教育の両面で活躍しています。

Chattopadhyay博士の研究は、医療・社会・安全保障など多岐にわたり、とりわけ事件発生単位での犯罪予測モデルの開発によって、米国都市における法執行上の構造的偏りを可視化したことで高い評価を得ています。警察データに依存せず犯罪リスクを構造的に予測する独自アルゴリズムは、犯罪予防や公共安全分野への応用可能性から国際的な注目を集めています。

近年では、音声や言語データを活用したグルーミング行動の検出にも取り組むなど、社会的課題解決に向けたAI応用研究を積極的に推進しています。

Chattopadhyay博士の研究は、米国国防総省(DoD)、DARPA(国防高等研究計画局)、米国国立衛生研究所(NIH)、アルツハイマー協会、および ノイバウアー・コレギウム(Neubauer Collegium)などから助成を受けており、主要学術誌に多数の論文を発表。2020年にはDARPAヤング・ファカルティ・アワードを受賞しています。

■Ishanu Chattopadhyay博士のコメント

犯罪予測AIの真の可能性は、単に事件を予測することにとどまらず、リスクが現実化する前にどのように察知し、対応するかという発想そのものを根本から再構築することにあります。私たちはこれまでの研究で、予測アルゴリズムが法執行の構造的な偏りを可視化し、見えなかった問題を「見える化」できることを示してきました。

今回のSASENAIとの取り組みでは、この理念を子どもの保護という、より切実で、従来の予防策がしばしば限界を見せてきた領域へと拡張しています。高度な予測モデリングと倫理的配慮を両立させることで、監視の道具ではなく、社会の中で最も弱い立場にある人々を守る「盾」として機能する仕組みの実現を目指しています。このパートナーシップは、そのビジョンを現実のものとするための重要な一歩です。


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