
そろそろ小学校入学準備!学習机は必要?リビング学習とは?
小学校入学に伴う買い物として、まず必要になるのがランドセル。そして次に悩むご家庭が多いのが「学習机を買うかどうか」です。最近では、学習机を置かずに「リビング学習」を選ぶ家庭も増えています。学習机のメリット・デメリットと、リビング学習について考えてみましょう。
執筆 元教員 金島ちぐさ
学習机派と、リビング学習派

小学校入学のタイミングで学習机を購入し、宿題を自室でする習慣をつける家庭がある一方、リビングのダイニングテーブルで宿題に取り組む家庭もあります。
ちなみに我が家には小学6年生の長女と小学3年生の長男がいるのですが、どちらも小学校入学のタイミングで学習机を購入しました。娘は1年生の始めから自分の机で宿題に取り組んでいますが、息子は入学当初からリビングで宿題をやりたがり、今もリビングで宿題をしています。
学習机派とリビング学習派、両方のスタイルを経験してきた立場から、それぞれのメリットとデメリットをお伝えします。
学習机のメリットとデメリット

自室に学習机を置いて宿題に取り組むケースです。家族が過ごすリビングやダイニングから離れた空間で、基本的には一人で勉強します。
メリット① 勉強のメリハリがつく
学習机を置くと、「机に座ったら宿題をする」という習慣が身に付くので、勉強にメリハリが生まれます。学校から帰ってきたら手を洗ってリビングでおやつを食べ、部屋に行って宿題をする。宿題が終わったらリビングに来てゲーム等をする。というリズムが自然と生まれるのは、学習机のメリットだと思います。
メリット② 持ち物が家の中で散らばらない
学校から帰ってきてランドセルを部屋に片付ければ、ノートも筆箱も部屋から持ち出す必要がありません。リビングが学用品で散らかることもないので、物の管理がラクになります。特に、持ち物の管理が苦手な子どもにとっては、置き場所が決まっていることが安心感にもつながります。
メリット③ 自主性や自立心が鍛えられる
一人で宿題と向き合う時間は、将来テスト勉強や受験勉強をする時間に生かされます。自分で休憩時間を決めたり、難しい問題に悩んだり、分からないことを教科書で調べたりと、勉強に対する自主性や自立心を養えるでしょう。一人でも集中して宿題に取り組めるようになれば、中学生や高校生になったときも無理なく勉強を続けやすくなります。
デメリット① 部屋が狭くなる
学習机を置くかどうか迷う大きな理由として、子ども部屋が狭くなってしまうことが挙げられるでしょう。小学校入学前は、まだまだたくさんのおもちゃで遊びたい時期。学用品を置くスペースを作るのに精一杯で、学習机まで置く余裕がないこともあります。この場合は、小学校高学年になったときや中学校に入学するときなど、別のタイミングで学習机を購入するのもひとつの方法です。
デメリット② 勉強の様子が見えない
子どもの自主性に任せるということは、同時に、どんな様子で勉強しているのかが見えないということでもあります。字のていねいさや計算が正しいかどうかは宿題をチェックすれば分かりますが、えんぴつの持ち方や姿勢が正しいかどうかは気になるところ。また、部屋におもちゃやマンガがあるとそれに気を取られ、宿題が全然進んでいない!という可能性もあるので注意が必要です。
リビング学習のメリットとデメリット

リビングのダイニングテーブルなどを使って宿題に取り組むケースです。一人ではなかなか宿題に取り組めない低学年の間は、リビング学習を行う子どもも多くなっています。
メリット① 家族の目があることで集中しやすい
大人でも、図書館で勉強したりカフェで仕事をしたりした方が集中しやすいというタイプの人がいますよね。一人きりだと飽きたり疲れて眠くなったりするけれど、周りに他人がいると「見られている」という感覚で集中力が長持ちすることがあります。子どもにとっても同じで、家族に見られている、サボっていられない、と感じ、集中して宿題に取り組むことができるかもしれません。
メリット② 勉強スペースを広くもてる
小さめの学習机だと、教科書とノートを広げるだけで机がいっぱいになってしまいます。ドリルをめくろうとして筆箱を落としたり、教科書が重なってノートに文字が書きにくかったりというのは、小学校の現場でもよくあることです。その点、ダイニングテーブルを使用すれば勉強スペースを広く確保でき、筆箱や辞書なども邪魔にならずに配置でき、効率よく宿題を進めることができます。
メリット③ 分からないことをすぐに解決できる
分からない問題があったときにすぐ近くにいる家族に質問できるのは、リビング学習の大きなメリットと言えます。分からない問題をそのままにしたり、後回しにしたりすることがないので、理解が進みやすくなります。親としても、子どもが今学校でどんな勉強をしているのかが自然と分かるので、安心できます。
デメリット① リビングが散らかりやすい
デメリットとしては、リビングに宿題を持ち込むことになるので、どうしても物が散らかりやすくなることが挙げられます。ランドセルは子ども部屋に置いていても、リビングにも筆記用具や宿題置き場が必要になるでしょう。
わたしの実体験としては、習い事等で宿題に取りかかるのが遅くなったとき、ダイニングテーブルで夕飯の準備ができないのが嫌だなと感じます。消しゴムのカスが出るので掃除にひと手間かかりますし、もうご飯だから早く宿題終わらせて!と言ってしまうこともあり、少しストレスになる場面もあります。
デメリット② 兄弟がいると集中しづらい環境になる
兄弟がいる場合は、リビングが集中しづらい環境になってしまう可能性があります。テレビを見たり、ゲームをしたり、兄弟の友だちが遊びに来たりすると、なかなか宿題に取り組めませんよね。リビングが騒がしくなってしまったときは別の場所で勉強するなど、工夫が必要になります。
デメリット③ 過干渉になってしまう可能性がある
目の届く場所で勉強していると、どうしても気になってしまうポイントが出てくると思います。字が少し汚いんじゃない?やり方が違うよ!本当にそれで合っているの?と、つい口を出しすぎてしまう危険があります。もちろん、毎日ていねいに宿題を終わらせることも大切なのですが、時には少し失敗して学校で解き直したり、先生に指摘されて書き直したりする経験も必要です。子どもから質問されたとき以外はそっと見守るなど、過干渉にならないように心がけましょう。
まとめ
・学習机は必ずしも必要なものではない
・一人で勉強する習慣が身に付くと、中学生以降も安心
・勉強の様子を見守れるのは、リビング学習のメリット
小学校入学準備のひとつとして検討する学習机と、リビング学習についてそれぞれ考えました。どちらの方がいいというものではなく、子どもの性格や家庭環境に合った学習スタイルを選ぶようにしましょう。どちらの方法を選んでも、子どもが集中して勉強に取り組める環境作りが大切です。
金島ちぐさ
元教員
国立大学の学校教育学部にて、小学校教員と中高音楽教員の免許を取得。卒業後は小学校の正教員として勤務。結婚を機に退職し、現在は小学生2人を育てながら教育・子育てに関する情報を発信している。